「まわりから認めてもらえない」という悩みは、解消しないのか
投稿日:2025年7月9日 / 最終更新日:2025年7月10日

まわりから認めてもらえない。
この「自尊心」に関するテーマの闇は深い。
ただし、すぐに解消できます。
それは、思い込みを手放せればだけれど……。
「頑張っているのに、誰も見てくれていない気がする。」
「もう何を頑張れば評価されるのか分からなくなった。」
「結局、会社や組織は人を見ていないんじゃないかと思う。」
「上司は自分の成果を知らないまま判断している気がする。」
「ミスをしたときだけ指摘されて、うまくいったときはスルーされる。」
「自分は替えが利く、いてもいなくても同じ存在なのかもしれない。」
「他の人は評価されているのに、自分だけ認められていないと感じる。」
「こんなに頑張って残業しているのに、『ありがとう』のひと言もない。」
「自分の努力が当たり前に思われて、まわりから反応がないのがつらい。」
「家族にも“仕事ばかり”と言われ、誰のために働いているのか分からなくなる。」
目次 [閉じる]
自尊心を他者承認で満たそうとするクセは、他者からの承認を求めて育ったからなのか……
他者承認を求めてしまう理由。
それは当たり前すぎて、意識ができないかもしれません。
多分、まわりからの承認を求めるようになった原因の多くは、懸命に生きてきたから。
人は生まれてから大人になるまで、まわりの大人の機嫌を取らなければ、
- 食事がもらえない
- 清潔な洋服が与えられない
- 安心して眠れない
私たちは「生きる方法」を、本能で知ってるのです。
小さくて無力だった私たち。
生きること、生き方を知らなかったあの頃の私たちは、大人たちから気に入られるように生きてきました。
だって、自分一人では生き延びられない。
そうやって、本能的に他者承認を学習してきました。
でも、大人になったら、他人の承認があってもなくても、別によいのではないでしょうか。
他人からの承認があるかないかで、心が揺さぶられてしまうなんて。
他人の影響で、自分の心が混沌とするなんて。
そんな必要はありません。
「なるほど」と思った人もいるかもしれません。
でも、絶対にやってはいけないことがあります。
それは、
- 親を恨まない。
- 親の責任にしない。
だって、親は子育てに慣れていなかったから。
人生は誰もがはじめてだから、上手くいかない。
だから、自分を責めるのも、親を責めるのもNGです。
大事なのは、自分の自尊心を満たす方法を身につけること。
他者承認がなくても自尊心が満たされたら、幸福に生きられるのです。
それでも、こんなことを思う人がいるかもしれない。
「マズローだって、『承認欲求が大事』って言ってるじゃん!」
その通りです。心理学者であるアブラハム・マズローが言ってるのですから。
他者承認がなくても大丈夫
マズローの承認欲求とは、
マズローの欲求階層説(マズローの五段階欲求)の上から4番目に位置する「承認欲求(esteem needs)」のこと。
その承認欲求は大きく2つに分かれます。
① 他者からの承認
- 他者から認められたい、評価されたい、尊重されたいという人間の欲求
- 「他人に褒められたい」「認められたい」「尊敬されたい」「評価されたい」
② 自己承認
- 自分自身に対する自信や、自己肯定感を持ちたいという内面の欲求も含まれる
- 「自分で自分を認めたい」「自信を持ちたい」「自分に価値を感じたい」
マズローは、承認欲求を「他者からの承認」と「自己承認」に分けて教えてくれました。
だけど、「他者から承認されたい」という欲求があっても、それを他者に求めなくてよいのです。
他者に求めると辛くなってしまいます。
だって、現代の社会人は、仕事のことを含めて自分のことで精一杯。
まわりを承認する余裕なんてないのです。
他者承認を求める弊害
他人の評価に振り回されやすくなる
他者からの評価や反応を求めてしまうと、自分の価値基準が“他人のものさし”に依存するようになります。
「どう思われているか」「期待に応えられているか」ばかりが気になるようになります。
本来持っている自分らしさや価値が薄れて、「人からどう見られるか」が優先されてしまいます。
その結果、チャレンジや自分の意見を表現することを控えるようになり、つい周囲に合わせてしまうなど、人生の主導権を他人に預けてしまいがちになります。
“承認されないこと”への不安や焦燥感
他者承認が得られないときには、強い不安や焦燥感に苛まれやすくなります。
「自分は認められていない」「存在価値がないのでは」といった感覚に陥り、落ち込んだり、孤独感を強く感じたりすることも少なくありません。
他人と自分を比較して劣等感や嫉妬を抱いたり、誰かに承認されるために無理を重ねてしまうかもしれません。
そして、それらのストレスが積み重なると、自尊心(自己肯定感)の低下や心身の不調につながることもあるようです。
外からの規則・ルールで正しく生きる苦悩
2021年。コロナ禍で外出の自粛が叫ばれていたころ。
抑圧されるのが大っ嫌いな私は、全国どこにでも出かけていました。
空いていて快適な旅。
新幹線の車両にいるのが、自分一人だけのときもありました。
SNSに「最高でーす。新幹線の新車両に一人だけ!」と投稿したところ、知り合いから、
「えぇ、外出していいんですか?国がいいって言ってましたっけ?」とコメントが入りました。
- 自分の行動基準が外的な人。
- まわりのルールに制限されて生きている人。
この「外的基準」の人は、他者承認を求める傾向が強いです。
だけど、先ほどもお伝えした通り、一般的に、多くの社会人は自分のことで精一杯。
私もそうです。
まわりをねぎらう時間より、自分のことを優先してしまいます。
すると、他者承認を求める人々は満たされない。
そのストレスを、どうやって発散するのか。
すると、「飲む」「食べる」「趣味に没頭する」などの代表的なストレス発散法に走る傾向があります。
これらは、他人に迷惑をかけることが少ない大人のストレス解消法、他者承認が得られないことに対するストレスの解消法です。
一方で、自己承認ができると、まわりに捉われることがなくなるので、「自由」が増えていきます。
他者承認をしてくれる人は珍しい
もし、まわりに他者承認をしてくれる人がいれば、見習ってみるといいかもしれません。
なぜなら、他者をしっかり承認できる人は、大人の社会では珍しく、とても価値のある存在だからです。
他者承認ができている人は、自分の時間を他人のために使っているのです。
それを「大人」といいます。
私たちは小さい頃、大人から承認してもらい育てられてきました。
ということは、大人になっても他者からの承認を求める大人は「子ども」で、他者承認を求める「子どものような大人」を承認できる人は、やはり大人としての風格があるといえるでしょう。
だから、もしこれを読んでくれている方が、いつも他者承認をしているなら、“まわりから承認されたい”という悩みはないはずです。
なぜならば、他者を承認する生き方は、自分を承認することにつながるから。
承認しながらの子育てと同様、承認しながらまわりの人を育てます。
他者承認ができる大人たちは、まわりの人を育てることで、自尊心が満たされるのです。
他者承認がない方が自由に生きられる
整理すると、「他者を承認する」という行為自体が、「自己承認」になります。
そして、自分を自分自身で承認できれば、もう他人にそれを求めなくてよくなります。
それが成熟した大人の一つの形です。
毎日、懸命に生きている自分を承認できるのは、“自分自身”です。
いつも一緒にそばにいてくれる“自分自身”でしか、自分を承認し、大切にできるわけがないのです。
それでも、「他者からの承認は、もらわなくていいの?」と不安に思う方もいるでしょう。
自分で自分を認める自己承認ができるようになったら、もう他者を過度に気にしなくてもよいのです。
それは、自由度が増えるということです。
ただし、誤解しないでくださいね。
努力は必要です。
「他者承認がない」「まわりから認めてもらえない」と悩む時間は、自分の努力する時間を邪魔するものになってしまいます。
自分を磨くために、徹底的に努力してください。
そして、その努力を自分自身で認めるのです。
ところで、頑張っている自分を承認してくれる「自分」とは誰でしょう?
自分は複数いるのでしょうか?
最新の心理療法『ACT(アクセプタンスコミットメントセラピー)』によると、何人もの自己が自分の中に存在するという考えです。
『ACT』は、心理学の唯一の国家資格「公認心理師」試験にも頻出しています。
興味があれば、専門書を読んでみてください。