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【解説】コミュニケーションをとるとは?

一般財団法人日本コミュニケーショントレーナー協会

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【解説】コミュニケーションをとるとは?

「コミュニケーションがとれている」とは、何を基準に分かるのでしょう?

例えば、

ママ:「夕飯ができたよ。食べよう」

パパ:「いつもありがとう。いただきます」

ママ:「どう?」

パパ:「どうって?」

ママ:「味よ! 正直に言って」

パパ:「正直に……、言えないよ」

このような会話って、「コミュニケーションがとれている」といえるでしょうか?

ママ:「口に合わない?」

パパ:「……」

ママ:「もしかして、私を傷つけたくなくて、これまで我慢していたの?」

パパ:「……」

ママ:「ありがとう。私、パパと結婚して良かった」

パパ:「僕もだよ! 君の手料理に価値があるんだ」(味が薄いだけ……)

このような会話なら、コミュニケーションがとれていますよね。
なぜならば、夫婦のお互いに対する思いやりが確認できたからです。

どのレベルをコミュニケーションがとれているというの?

コミュニケーションの手段の一つに「会話」があります。普段、あまり意識しないと思います。
そこで、「コミュニケーションがとれている」とは、どういうことなのか、簡単に確認してみましょう。

例えば、営業マンの部下と上司の場合。

部下の発言上司の対応
「契約が取れませんでした」       ①    ×「取れなかったの?」②    ×「今忙しいから後で聞く」③    ×「ウソでしょ」④    ×「信じられない」⑤    ×「なぜ」⑥    ×「営業は向かないね」⑦    ×「慎重にって言ったのに……」⑧    ▲「何があったの?」

上司の対応①~⑥は、「言葉の投げ合い」です。よくあるパターンですよね。
自分に起きた事実、考え、感情・気持ちを投げ合いっこしています。

これらの対応は、「コミュニケーションがとれている」とはいえません。
これらはコミュニケーションではなく、「主観的な情報交換」が行われているだけです。

コミュニケーションを学んだ方は、⑦の対応をするかもしれません。
コミュニケーションの方法として間違いではありません。ただし、これはお手本とはいえません。
なぜならば、受け手のコミュニケーションでは「受容+問いかけ」が基本です。

部下:「契約が取れませんでした」

上司:「何があったの?」

これでは、部下が発信した「情報」を、上司が「受けている」とはいえません。
なぜならば、「受け取ってもらった」と感じるのは、情報を発信した部下だからです。

コミュニケーションは「双方向」といわれています。
そして双方向とは、相手の情報を受け取り、双方で受け取られたことが感じ合えることがベースになります。
ですから、これらの部下と上司の会話は、「コミュニケーションがとれている」とはいえないのです。

そこで、こんな感じになったらいかがでしょう。

部下の発言上司の対応
「契約が取れませんでした」   〇「契約の件だね」〇「報告ありがとう」◎「言いづらかったでしょう」◎「正直に教えてくれてありがとう」

部下の発言に対して、上記のように上司が受容できたらいかがでしょう。
部下は、「受け取ってもらえた」「分かってもらえた」「この上司でよかった」と思うのではないでしょうか。

部下が感じるこのような感情・気持ちを「共感」といいます。
そして、このような信頼関係が構築された状態を「ラポール」と呼びます。

「コミュニケーションがとれている」とは、このような状態をいいます。

以下は理想的な事例です。

部下の発言上司の対応
「契約が取れませんでした」受容「契約の件だね、報告ありがとう」問いかけ「詳しく教えてくれるかな?」
「お客様が契約直前に『値引きしてくれ』っとおっしゃって……」受容「そんなことがあったの」問いかけ「それで?」
「契約書をお持ちしたので、『これでお願いできませんか?』とお願いしました」受容「突然、言われたらそうなるよね」問いかけ「それで?」
「他社さんの見積もりを見せられて、『その金額に合わせてくれたら契約する』と言われました……。どうしましょう」受容「お客様は、うちと契約してくれる気持ちが残っているんだね」問いかけ「なるほど! 何を学んだのかな?」 
「実は、いろいろ学ぶことがありました。契約前、内容の再確認が不十分だった気がします。私が契約を急いだばかりに、お客様や会社に迷惑をかけてしまいました」受容「それは次に活かせるね」問いかけ「それで、どうするの?」
「これからお客様に連絡をして、私の至らなかった点の謝罪と、お客様のお時間をいただいたことのお礼をして、もう一度、チャンスをもらえるようにします」受容「そうだね」問いかけ「私もそう思う」

「コミュニケーションをとる」とは、双方に気づきや学びがあり、成長につながるコミュニケーションをすることです。
コミュニケーションがとれたときは、このような状態になっているでしょう。

  • お互いに理解し合えたことが感じられる
  • お互いに人間関係が深まった感覚が得られる
  • お互いに気づきが生まれる
  • お互いが成長できる
  • 「結果枠」に焦点が当たる会話になっている
  • 感情が統制された会話になっている

次のように一方的にメッセージを発信するのは、「コミュニケーションをとる」とはいいません。

部下の発言上司の対応
「契約が取れませんでした」受容「ホント?」問いかけ「なぜ?」
「お客様が契約直前に『値引きしてくれ』っとおっしゃって……」受容「そんなことあるの?」問いかけ「君の準備不足じゃないの?」
「そうかもしれません」受容「そうかもしれないって?」問いかけ「自分で分からないの?」
「一所懸命にやったのですが」受容「みんな一所懸命だよ」問いかけ「仕事は結果だよ?
「結果が大事なのは分かっています。もう一度、やってみます」受容「もう一度?」問いかけ「何をやるの?」
「ライバルに値段を合わせます」受容「価格下げて契約するの?」問いかけ「知恵がないね」
「私、会社辞めます」  

このように、お互いに理解し合うことができないまま、関係が破綻してしまいます。
そして、こんな場面は多々あります。

コミュニケーションがとれないときは、以下のような状態になります。

  • 会話がストレスになる
  • 理解が深まらない
  • 責めたり守ったり、自己主張の交換になる
  • 感情が発散される会話になっている
  • 人間関係が深まらない
  • 「原因」に焦点を当てる会話になってしまう

なぜ、コミュニケーションをとることが大切なのか?

コミュニケーション力が人を変容させる

もし、コミュニケーションをとることで、相手の人生を肯定的に変えることができたら……。
高校1年生の息子と父親の会話で確認してみましょう。

息子父親
「高校、中退してもいい?」受容「いきなりだね、ビックリしたよ。相談してくれてありがとう」問いかけ「どうしたの?」
「もうすぐ夏休みじゃない。僕、体育の時間以外、先生が授業で話す言葉の意味が分からないんだ。このまま高校卒業までの2年半を無駄に過ごすなら、社会に出て働いた方がいいかなと思ってるんだ」受容「高校生になってから、ずっとそうなの?」問いかけ「それでどうしたいの?」
「僕ね、勉強が嫌いなんだ。小さいころから、勉強苦手なんだよ。っていうか、学校の勉強するのが嫌いなんだよ」受容「お父さんに言いにくかったでしょ。これまで勉強できないとき、怒ってばかりでゴメンな!」問いかけ「これからどうしたいんだい?」
「しばらく建築の仕事をしてみるよ。そのうちに、やりたいことが見つかると思うんだ」受容「そうなんだ。自分の人生を自分で決めたいんだな」問いかけ「お父さん、おまえの人生を応援するよ!」

彼は、高校を中退しました。
そして、6カ月がたったころ……。

息子父親
「お父さん、話があるんだけれどいいかな?」受容「もちろん」問いかけ「どうしたの?」
「僕、もう一度、高校に入って勉強したい。もう手遅れかな?」受容「手遅れだと思ってるの?」問いかけ「手遅れかどうか、高校に行って確かめてみたら?」

彼はADHD(注意欠如・多動症)と診断されている青年です。
学校で集中して勉強することは苦手でしたが、スポーツの成績は良かったようです。
そんな彼が、高校を中退してから、学校で学ぶことの重要性に気づきます。
彼はその後、高校生活を全うして社会人になります。

彼は事務作業などが苦手で、社会に出てからまわりに繰り返し迷惑をかけたようです。
しかし、彼の人懐っこい性格と、類まれなるプレゼンテーション能力という強みが分かってからは、
その能力が発揮できる仕事に就いて活躍しています。

コミュニケーションをとることで、相手の人生を肯定的に変容させることができるのです。

コミュニケーション力とは、人の生き方そのもの

もう一つ、子育ての事例をお伝えしましょう。
子育てに厳しいお母さんと一人息子の物語です。

2歳になるころから英会話を習わせる教育ママ。
従順な息子は、ママが期待する習い事を一所懸命にすることでママを喜ばせます。
ゲームをすることやテレビを見ることは、厳しく制限されていました。

小学校4年生になった彼。友達との会話についていけません。
ママの指示通り、学習塾に行く時間と勉強時間が増えて、小学生の彼にとって窮屈な生活が続いたのです。

ゴールデンウィーク。彼は家出をし、自殺未遂を起こします。
教育ママは、一人息子をそこまで追い込んでいたのです。

反省した教育ママ。

「母親とはどういうものか?」

「子育てとはどういうものか?」

「一人格を尊重するとはどういうものか?」

いろいろなことを学びました。

そして、ある日、息子を部屋に呼び、話し合いをしました。

息子母親
 「ママ、お前の言うこと何でもかなえてあげるから、言ってごらん」 
「何でもいいの? じゃあ、習い事を全部やめたい!」受容「いいよ。今までママが押しつけてばかりだったからね。教えてくれてありがとう」問いかけ「ほかに何かしてほしいことはある?」
「ほかに? ママの膝の上に乗って、抱っこしてもらいたい」  

息子が物心ついてから、一度も膝の上で抱っこすることがなかったママ。
その日は、彼を抱っこして、あふれる涙が止まらなかったそうです。

彼は、すべての習い事を止めます。ゲームをして、テレビを見て、自由に生活します。
そして、半年後……。

息子母親
「ママ、話があるんだけど……」受容&問いかけ「あら、どうしたの?」
「僕、もう一度、塾に行きたい」受容&問いかけ「何かあったの?」
「テレビで『奇跡の心臓外科医』の番組を見たんだ。ママ、僕も心臓外科医になりたい。今からじゃ間に合わないかな?」受容&問いかけ「心臓外科医になりたいのね。間に合うかどうか、やってみたら?」

それから彼は、一所懸命に努力します。そして、中学受験に成功。寮生活をしながら初心を貫きました。
その後、現役で国立の超難関大学に合格しました。

教育ママは、子どもをしっかり教育して使命を全うしましたね。(笑)

日常のコミュニケーションで、このような結果を求めることはないでしょう。
それでも、私たちのコミュニケーション力によって、まわりの人の人生を、肯定的に変化させることが可能なのです。

コミュニケーションをとる重要性

理解し合うことが信頼関係の土台

人間関係が破壊してしまう主な原因は、「理解不足」です。

「えぇ! そうだったの?」

「私の方が勘違いしていた……」

「てっきりそうだと思ってたのよ」

このようなことはよくあると思います。これらはすべて理解不足です。

コミュニケーションがとれたら、理解不足が減ります。
お互いに、もしくは片方だけでも、「受容+問いかけ」のコミュニケーションテクニックを習得しておくことが大切です。

怒りの感情が統制できるようになる

負の感情を持ったときこそ、コミュニケーションをとるテクニックが必要です。

  • コミュニケーションをしているつもりが、いつの間にか感情の発散の場になってしまう。
  • このままでは感情のコントロールができなくなるので、一歩引いてしまう。

負の感情を吐き出すことはストレスです。また、その感情を抑圧することもストレスです。
コミュニケーションをとるテクニックが身につけば、負の感情に操られることが減ります。

そして、慣れると負の感情を統制できるようになります。
人間は感情の動物ではありません。人間は感情を統制する動物なのです。

相手を勇気づけられる

思い通りにならないときに一番辛いのは、その本人です。
失敗をしても、過ちを犯しても、期待を裏切ってしまっても、相手の言葉を無条件に受容してみましょう。
そして、優しく問いかけてみましょう。

そうすることで、人は勇気づけられ、自ら成長しようと心に決めるようになるのです。

相手を肯定的に変化させる

コミュニケーションの本来の目的は一つ。それは「相手を肯定的に変化させる」ことです。

冗談を言い合う会話も、コミュニケーションをとる一つの手段。
それはユーモアという手段で、人間関係を構築するのが目的でしょう。

居酒屋で仕事の愚痴を言い合う。それは、傷のなめ合いです。
人間関係を確認する手段なのかもしれませんが、それをコミュニケーションと呼ぶのはいかがなものでしょう?

事例でお示しした通り、コミュニケーションの力で人を肯定的に変容させることができます。
そしてその一方で、人を深く傷つけることもできます。
愚痴を言い合って、傷をなめ合うこともできます。

言葉の力。コミュニケーションの可能性。
あなたはどのように利用しますか?

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心理学を学ぶメリットと学び方の事例

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