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【解説】コミュニケーションとは、双方の意思の疎通です。ところが、自分が先に意思を伝えると失敗してしまいます。

【解説】コミュニケーションとは、双方の意思の疎通です。ところが、自分が先に意思を伝えると失敗してしまいます。

投稿日:2024年8月6日 / 最終更新日:2024年9月5日

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コミュニケーションは、情報や意見、感情を交換するプロセスです。
これは一方通行ではなく、双方の意思の疎通が基本となります。
双方の意思の疎通では、意思確認の順番が大切です。

相手の状態を確認することから始めると、自分の状態を伝える機会が訪れます。
ところが、それを知らずに、自分の意思を先に伝えると、コミュニケーションはほとんどが失敗してしまいます。

今回は、自分の意思を先に伝えることのリスク、効果的なコミュニケーション法、コミュニケーションに役立つ「意志力」の高め方を解説します。

コミュニケーションが一方通行?|よくある会話例

 

<朝食が進まない子どもと母親の場面>

母 親:「早く食べなさい…」

子ども:「今日は、いいや…」

子どもは、大切なことを伝えようとしていたのかもしれません。

<上司と部下の会話>

上 司:「この仕事、やっておいて…」

部 下:「はい、わかりました…」

部下には優先する仕事があったかもしれません。

<仕事で疲れて帰ってきた夫婦の会話>

夫:「仕事がハードで…」

妻:「それは、たいへんだね…」

妻にもハードなことが続いているかもしれません。

このように自分の意志を先に伝えると、相手は意見や本音を伝えることをしなくなる可能性があります。

ですから、こんな感じになるといいですね。

<朝食が進まない子どもと母親の場面>

母 親:「どうしたの?何かあった?」

子ども:「あのね…」

子どもは、大切なことを伝えられるかもしれません。

<上司と部下の会話>

上 司:「最近、仕事、どうかな?」

部 下:「はい、今こんな状況で…」

部下には上司が把握できていない問題があるのかもしれません。

<仕事で疲れて帰ってきた夫婦の会話>

夫:「最近、どう?疲れてない?」

妻:「私は大丈夫。あなたは…?」

相手の状態を確認することから始めると、自分の状態を伝える機会が訪れます。

先に意思を伝えることによるリスクと結果

相手が自分の意見を言わなくなる

相手が目上の場合(上司部下、親子、先輩後輩など)。
目上の者が自分の意見を最初に主張すると、まわりが意見を言う気力を失ってしまう場合があります。
まわりの者は自分の意見を言う機会を失った無力感や、存在を無視されていると感じ、モチベーションや協力意欲が低下する可能性があります。

相手が本音を隠す

目上の者が意見を先に伝えることで、まわりはその意見に合わせたり、遠慮して本音を隠してしまうことがあります。
これにより、意見交換が行われず、建設的な議論ができなくなります。
そして、相手が自分の意見を抑えてしまうと、重要な視点やアイデアが見落とされる可能性が高まります。

誤解を招くリスク

自分の意見を先に伝えると、相手がその意見に対して防御的になることがあります。
これにより、誤解が生じたり、対話が一方的になる恐れがあります。
色々な人の意見・視点を理解せずに話を進めると、本来向き合うべき問題解決から遠ざかってしまうことがあります。

チームのダイナミクスを損なう

リーダーは、自分の意見ではなく、まわりの全員の意見を聞くことから始めることが重要です。
自分の意見を先に伝えると、チームのダイナミクスが損なわれ、協力的な雰囲気が失われる可能性があります。
結果的に、チームのパフォーマンスが低下することもあります。

効果的なコミュニケーションの方法

最低でもまわりの意見に耳を傾ける

まず相手の意見をしっかりと聞くことが大切です。
相手が話し終わるまで待ち、質問や確認を通じて相手の意図を正確に理解しましょう。
これにより、相手は自分の意見が尊重されていると感じ、より積極的に対話に参加してくれるようになるでしょう。

まわりの意見が出やすい質問をする

相手の意見を引き出すために、オープンな質問(オープンクエスチョン)を投げかけましょう。
「○○さんは、どのように思いますか?」「この点について、率直な意見を聞かせてください」「さらによくするアイデアをお願いします」などの質問は、まわりの考えを明確にする手助けとなります。

フィードバックを取り入れる

まわりの意見に対して建設的なフィードバックを行うことで、コミュニケーションの質を高めることができます。
相手の意見を尊重し、改善点や追加の意見を述べることで、より良い結論に導くことができます。

感情はコントロールできないけれど、行動を選択することはできる

感情的になっても、自分を安定させ冷静に対話を進めることが重要です。
感情が高ぶると、理性的な対話が難しくなり、誤解や対立を生む原因となります。
冷静な態度を保つことで、建設的なコミュニケーションが可能になります。

自分を安定させ、冷静でいるための意志力の鍛え方

感情や思考はコントロールできない

私たち人間は、コミュニケーションをしているときに、感情的になることや、役立たない考えに染まることを避けることができません。
無意識的な感情や考えをコントロールすることなどできないのです。

コントロールできることは行動だけです。
感情や思考はコントロールできないけれど、自分を取り戻せば行動を選択できるのです。

負の感情や考え方湧き起きたら

負の感情や考え方が湧き起きたら、冷静な自分を取り戻すことが重要。
それに役立つのが意志力です。

意志力とは

意志力とは、自分の感情や行動をコントロールする能力であり、自己認識・セルフケア・使命にリコネクトすることで磨かれます。

意志力を高める3要素

  • 自己認識を高める

自分の感情や反応を客観的に理解することが重要です。
その日を振り返ったり、反省したり、日記をつけたり、瞑想をすることで自己認識を深め、冷静な自分の時間を増やすことができます。

  • セルフケアの実践

意志力を高めるためには、自分を大切にすることが重要です。
自分を大切にするセルフケアの一つのやり方は、まわりにいる自分と同じような境遇の人を支援することです。

  • 使命にリコネクトする

自分の人生の目標や価値観を再確認し、それに基づいて行動することが意志力を強化します。
負の感情、負の考えに揺さぶられそうになった時、ご自身の使命を思い出し、リコネクトするのです。

「何を成し遂げるために生まれてきたのですか?」
「どんな貢献をするために生きているのですか?」
「目の前の人を笑顔にするには、どうすればいいのですか?」

まとめ

コミュニケーションは双方の意思の疎通が基本であり、相手の意見を尊重しながら自分の意見を伝えることが大切です。

コミュニケーションはよくキャッチボールに例えられます。
キャッチボールでは、最初に自分からボールを投げるイメージがあるため、注意が必要です。
まずは相手に声をかけて、相手の持っているボールを受け取ることから始めます。

コミュニケーションは自分本位なキャッチボールでもなければ、感情を吐き出す場でもありません。

命の危機に瀕している場合などは、自分の意志を先に伝えることが必要でしょう。
しかし、そうでない場合は、失敗を招く可能性大です。

そこで、最初にまず相手の意見を聞き、理解し、意志を確認することがより良いコミュニケーションをする最低限のポイントになります。

また、試練やストレスが起きても、自分が安定し冷静さを保つためには意志力が重要であり、意志力を鍛えることでコントロールできない感情や衝動と向き合うことが可能になります。

意志力は、自己認識・セルフケア・使命にリコネクトすることで磨かれ、より良いコミュニケーションと人間関係を築く助けとなるのです。

著者プロフィール 椎名規夫(公認心理師、NLPトレーナー)

一般財団法人日本コミュニケーショントレーナー協会 代表理事
経歴:社団法人取手青年会議所 1999年理事長

1961年生まれ。茨城県取手市出身。

「変われなければ心理学ではない!」をスローガンに、心理の国家資格『公認心理師』の知識を活かして、日本で唯一、科学的根拠のある心理学をベースにしたコミュニケーションスキル(コーチング、カウンセリング、メンタリング、セラピー、コミュニケーション能力、コミュニケーション心理学)を提供。

エビデンスベースド(科学的根拠のある)心理学とコミュニケーション能力こそが社会人、ストレス社会、人生100年時代に役立つスキルと確信してトレーニングを実施中。

  • 総務省 「コミュニケーションの基礎に関する研修」
  • 全国6万社が加盟する厚生労働省の労働基準局所管特別民間法人『中央労働災害防止協会』にてコミュニケーション技術力研修担当10年以上
  • 労働基準監督官(国家公務員)合同研修でメンタルトレーニング・コミュニケーション技術担当
  • 独立行政法人教職員支援機構にて全国の小・中、高等学校の教員向けコーチング講座担当など
椎名規夫トレーナー

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