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【解説】マネジメントコミュニケーション! なぜ、職場で双方向の『意思の疎通』のコミュニケーションが必要なのか?

一般財団法人日本コミュニケーショントレーナー協会

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【解説】マネジメントコミュニケーション! なぜ、職場で双方向の『意思の疎通』のコミュニケーションが必要なのか?



『コミュニケーション』とは、意思の疎通。
すなわちお互いの気持ちや感情、考えを伝え合い
理解や認識を共有することです。

双方向での意思の疎通が実現した際
コミュニケーションが成功したといえます。

「現代の経営学の父」と称されるP.F.ドラッカーは
組織におけるコミュニケーションを「マネジメントコミュニケーション」と呼び
その効果的な実践が組織の成功に不可欠であると彼の著作「マネジメント」で述べました。

マネジメントコミュニケーションは、チーム内の情報共有に欠かせないスキルです。
意思の疎通がうまく行われなければ、業務の遂行はもちろん
チームメンバーや顧客との関係にも悪影響を及ぼします。

そして、どうすればマネジメントコミュニケーションがうまくいくのでしょうか?

なぜ、マネジメントコミュニケーションが必要なのか?

職場での私たちの精神的健康や幸せは、「何をしているか?」よりも、
「一緒に働く人に対してどう感じるか?」によって決まる。

職場でのコミュニケーションは、単に仕事の進行をスムーズにするためだけではなく
私たちの深層心理や本能に根ざした必要性から生じます。

人間は社会的な生き物であり、集団の中での自分の位置や関係性を常に意識し、評価しています。
私たちが人間関係に悩まされるのは、実は人間の本能の表れの一つです。

私たちの脳は、社会的な対立や不和のサインを敏感に感じ取り
それに対して悩みや反応を示します。

これは遠い昔、人間が生き残るには集団内での調和と協力が
不可欠だったため、進化の過程で培われた能力です。

職場でのコミュニケーションは、この本能的な要求に応える手段として非常に重要です。
良好なコミュニケーションを通じて、社員同士の信頼関係を築き
社会的な対立や誤解を最小限に抑えることができます。

これにより、個々の精神的健康や幸せを保つだけでなく
チーム全体の協調性や生産性の向上にも寄与します。

さらに、職場での幸せは、『私たちが何をしているか』ということ以上に
『一緒に働く人々に対してどのように感じるか』に大きく依存しています。

これは、職場での人間関係が、私たちの幸福感に与える影響が非常に大きいことを示しています。
良好な人間関係は、職場のストレスを軽減し、仕事への満足感や帰属感を高めます。
コミュニケーションの質はこれらすべてに影響を及ぼします。

つまり、職場でのコミュニケーションは
仕事の効率や成果を高めるためだけでなく、私たちが社会的生物として持つ
本能的なニーズに応え精神的な健康や幸せを保つためにも必要不可欠です。

そのため、職場での良好なコミュニケーションの維持は
組織全体の成功と個々の社員の福祉の両方を促進する鍵となります。

マネジメントコミュニケーションのポイント

それでは、マネジメントコミュニケーションの本質と
効果的にコミュニケーションするポイントを説明します。

コミュニケーションの主人公は『受け手』

コミュニケーションでは、情報の送り手よりも
その情報を受け手がどのように受け取るかが重要です。
受け手の認識・理解と反応が、コミュニケーションの成功を左右します。

私たち人間は、一人ひとりが人生の主人公です。
日常生活がスムーズに送れる理由は、過去の経験で培った記憶のおかげです。
そして、人は起きた出来事を、一人ひとり異なる枠組みにはめ込もうとします。

ですから、送り手の伝えたいことは、『送り手の枠組み』のレベルだということです。
コミュニケーションは意思の疎通です。

送り手の意思、気持ち、考えは、『受け手の枠組み』に当てはまるように
伝えなければならないのです。

ところが現実は、受け手の枠組みを無視して、送り手の都合で意思の疎通を試みます。
すると、コミュニケーションは失敗してしまうのです。

言葉そのものだけでは、コミュニケーションを成立させられない

言葉はコミュニケーションの手段の一つです。
言葉だけでは、何も伝えることができません。

例えば、「おはよう」のあいさつは、その声のトーンや表情
態度によって、無制限にメッセージを伝えます。

  • 元気そう
  • 落ち込んでいそう
  • イライラしているみたい
  • 心がそこになさそう
  • 儀礼っぽい

このように、「おはよう」という言葉だけを伝えることはできません。
言葉には必ず、言葉以外の『非言語』がついてきます。

この非言語的要素(ジェスチャー、表情、声のトーンなど)は
発せられたメッセージを理解するために不可欠です。

コミュニケーションは言葉だけではなく、文脈、非言語的なサイン
社会的背景など、多層的な要素から成り立っています。

コミュニケーションには、全人格が関わってきます。
コミュニケーションは、個人の価値観、経験、感情など
人格全体が関与する複雑なプロセスなのです。

知覚と概念は、固く結びついている

私たちの知覚(物事を認識するプロセス)は
既存の概念やカテゴリーによって強く影響されます。
つまり、同じ情報でも、人によって異なる方法で解釈される可能性があります。

概念が欠けていると、知覚することができません。
その一例をご紹介します。私が高校生の頃の出来事です。

夏休みの暑い日に友人の家で遊んでいたところ
友人の父親が畑仕事から帰ってきました。

父親は大声で、「てっかんビールを持ってこーい!」と怒鳴っていました。
私が友人に、「お父さんは昼間からビールを飲むの?」と尋ねると
友人は「てっかんビールとは、冷たい井戸水のことだ」と教えてくれました。

概念として、「てっかんビールとは、冷たい井戸水のこと」だと
知らなかった私は、友人の家の1シーンを理解することができなかったのです。
このように概念がなければ、知覚して認識することも、理解することも困難なのです。

では、このような場合はどうでしょう。
あなたは、どちらの概念をお持ちですか?

①「簡単に職場を変えるべきではない!」

②「キャリアアップには転職が不可欠だ!」

例えば、会社を辞めたAさんに対して

①の概念を持っている人は
「根性がない」などと否定的な言葉を言うかもしれません。

②の概念を持っている人は
「Aさんは次の会社でキャリアアップしているのでは」と肯定的な言葉を言うかもしれません。
持っている概念によって、同じ出来事に対する評価が変わります。

このように、持っている概念が違えば、起きている出来事に対して知覚し
認識・理解した結果が異なるのです。

「相手に受け取ってもらう」成功ポイント

コミュニケーションを成功させるためには
どのようにすれば相手が情報を受け取りやすいのかを理解し
それに基づき、伝え方を工夫する必要があります。

相手にうまく受け取ってもらうためには
相手が知覚できる範囲、概念を、あらかじめ把握しておく必要があるのです。

文化的要因、心理的要因が何より重要

文化的背景や心理的状態は、受け取り方や解釈に大きな影響を与えるため
コミュニケーションの際にはこれらの要因を考慮することが重要です。

例えば、日本では場を感じ取る文化が育まれてきました。
だから、相手に何かを伝えるとき、変化球を使ってコミュニケーションをしたりします。

米国文化は逆です。直接的なやり取りをすることが
双方の利益につながると考えています。

ですから、感じたこと、思ったことを率直に伝えます。

『郷に入れば郷に従え(ごうにいればごうにしたがえ)』という言葉があるように
相手の大切にしている文化、価値観、習慣
そして相手の心理的要因などが、コミュニケーションの結果に大きな影響を与えます。

コミュニケーションでミスマッチする理由

P.F.ドラッカー氏は
「意見の対立やいさかいは答えや表面的な事柄をめぐって起きるのではなく
 たいてい知覚の不一致によって起きる」と記しました。

2021年、東京オリンピックが予定より1年遅れて開催されました。
コロナの感染を恐れた人たちは
医療現場のさらなるひっ迫を考え、「開催中止」を訴えました。

アスリートや関係者が費やした努力を尊重した人たちは、「開催決行」を訴えました。
それぞれの調和を考えた人たちは、「もう1年開催延期」を訴えました。

東京オリンピックの開催の是非は、マスコミでも大々的に取り上げられました。
その意見の対立は、同じ現象を別の角度から見ているために起きます。
それぞれの立場の知覚・認識・理解の違いによって起きるのです。

マネジメントコミュニケーションを成功させるには?

本当の意味でコミュニケーションを成立させるためには
送り手が受け手の立場や背景、受け手が何を理解しようとしているのか
どのような理由でその情報が必要なのかを深く理解しておくことが重要です。

これはコミュニケーションが、単に情報を伝える行為以上のものであることを示しています。
次に、コミュニケーションの成立にとってなぜ最低条件となるのか、その理由を解説します。

理解の深化

①受け手のニーズに対応する
受け手が何を求め、どのような情報が必要かを理解することで
送り手はそのニーズに応える最も適切な情報を提供できます。

②背景知識の考慮
受け手の持つ背景知識や経験を把握することで
送り手は情報のレベルを適切に調整し、より理解しやすい方法で
情報を伝えることができます。

効果的な伝達

①関係性の強化
受け手の興味や関心、問題点を理解することで
送り手はよりパーソナライズされ、意味のあるコミュニケーションを行うことができ
これにより受け手との関係性が強化されます。

②信頼の構築
受け手の視点を理解し尊重することで
送り手は受け手からの信頼を勝ち取ることができます。
信頼はコミュニケーションの成功において不可欠な要素です。

誤解の回避

①誤解の最小化
送り手が受け手の認識や先入観を理解していれば
誤解を招きやすい表現や情報の提供を避けることができます。

②クリアなメッセージ
受け手の状況や必要性を考慮することで
送り手はより明確で理解しやすいコミュニケーションを行うことが可能になります。

カスタマイズされたコミュニケーション

①個別化
受け手の特定の興味やニーズに合わせて情報をカスタマイズすることで
受け手の関心を引き、より効果的に情報を伝えることができます。

まとめ

マネジメントコミュニケーションの本当の意味での成立には
送り手が受け手の立場、ニーズ、背景を深く理解し
それに基づいてコミュニケーションを行うことが不可欠です。

このアプローチは、単に情報を伝える以上に
受け手との有意義な関係を築き、効果的な相互理解を促進することになるでしょう。

著者プロフィール 椎名規夫(公認心理師、NLPトレーナー)

一般財団法人日本コミュニケーショントレーナー協会 代表理事
経歴:社団法人取手青年会議所 1999年理事長

1961年生まれ。茨城県取手市出身。

「変われなければ心理学ではない!」をスローガンに、心理の国家資格『公認心理師』の知識を活かして、日本で唯一、科学的根拠のある心理学をベースにしたコミュニケーションスキル(コーチング、カウンセリング、メンタリング、セラピー、コミュニケーション能力、コミュニケーション心理学)を提供。

エビデンスベースド(科学的根拠のある)心理学とコミュニケーション能力こそが社会人、ストレス社会、人生100年時代に役立つスキルと確信してトレーニングを実施中。

  • 総務省 「コミュニケーションの基礎に関する研修」
  • 全国6万社が加盟する厚生労働省の労働基準局所管特別民間法人『中央労働災害防止協会』にてコミュニケーション技術力研修担当10年以上
  • 労働基準監督官(国家公務員)合同研修でメンタルトレーニング・コミュニケーション技術担当
  • 独立行政法人教職員支援機構にて全国の小・中、高等学校の教員向けコーチング講座担当など
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