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【解説】なぜコミュニケーションのミスマッチが改善されないのか?

一般財団法人日本コミュニケーショントレーナー協会

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【解説】なぜコミュニケーションのミスマッチが改善されないのか?

コミュニケーション能力の問題とはなんでしょうか?

経団連が毎年行う「新卒採用に関するアンケート」調査によると、
企業が新卒学生に求めるものについての回答は、
14年連続で第1位が「コミュニケーション能力」となっています。

しかしその一方、
日本最大級の人事ポータルサイトが行ったコミュニケーションに関するアンケート結果によれば
自分にはコミュニケーション能力がある?という問いに対し、
大きく過半数を超えた72.4%の人が「ない」と答え、その理由について多くの人が
「苦手だから」と回答。

さらに掘り下げてみると、コミュニケーションの重要性に関する意識調査(文化庁調べ)では、
96.4%の人が「コミュニケーション能力は重要」と答えています。

「求められている」

「重要性も理解できる」

「でも苦手…」

社会では長きにわたりコミュニケーション能力が求められ、
求められる側も、その重要性について認識しています。

しかし、当の能力については全く向上せず、
多くの人が苦手と感じてしまっている。

これがコミュニケーション能力の実情です。

コミュニケーション能力は、なぜ一向に向上しないのでしょうか。

なぜ、コーチングが必要だと叫ばれているのに、
嫌われるコーチが増え続けているのでしょうか。

なぜ、一生懸命に話を聞いているのに、
相手を変化させることができないのでしょうか。

そもそも「コミュニケーション」とは?

「そんなつもりなかったのに」「上手く伝わらない」
コミュニケーションの失敗により、一瞬で相手との関係が変化してしまった。
そのような経験をされた方も多いのではないでしょうか。

日常はコミュニケーションによって積み重ねられるものであり、
そう考えると、コミュニケーションが人生を左右するといっても過言ではありません。

例えば、

仕事で卓越した成果を出せるようになる
ストレスと向き合うことがラクになる
パートナーと上手に付き合えるようになる
上司・部下との人間関係が改善できる
家族との絆を強くすることができる
自分を理解することで毎日が楽しくなる

コミュニケーション能力を向上させることで、
私たちは素晴らしい時間を過ごせるようになるのです。

99%が知らないコミュニケーションの基本

まずは「コミュニケーション」の定義について説明しましょう。

コミュニケーションの意味は、次のように解説されています。

1.社会生活を営む人間が互いに意思や感情、思考を伝達し合うこと。
言語・文字・身振りなどを媒介として行われる。
「コミュニケーションをもつ」「コミュニケーションの欠如」
2. 動物どうしの間で行われる、身振りや音声などによる情報伝達。

出典:デジタル大辞泉 小学館

コミュニケーションは、
「言語・文字・身振りなどを媒介として行われる」と書かれています。
この中の特に「身振りなどを媒介」の部分に注目してみましょう。

シーン1
佐藤さんは、大切な方とレストランへ行きました。
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました。佐藤様」
レストランの入り口でスタッフが迎えてくれます。
佐藤さんは、とても良い気分になりました。

シーン2
別の日、佐藤さんは同じレストランを訪れました。
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました。山田様」
同じようにスタッフに迎えられたものの、
名前を間違えられたため、とても不快な気分になりました。

この2つのシーンは、
「言語・文字・身振りなどを媒介として行われる」、
言語・文字
の部分です。

次に重要なもう一つの場面です。

シーン3
また別の日、佐藤さんが同じレストランに行きました。
レストランの入り口でスタッフが迎えてくれます。
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました。佐藤様」
しかし、佐藤さんは良い気分になれませんでした。

なぜならば、レストランのスタッフが、
電話しながら出迎えたからです。

シーン1とシーン3でレストランのスタッフは、
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました佐藤様」
と同じ言葉で出迎えています。

しかし、佐藤さんは『快』だったり『不快』になったりしています。
多くの方がこの結果は「当然」と思うかもしれません。
それは私たち自身も日常の中で、
ごく自然に「身振りなど」を媒介しながら情報を伝えているからです。

コミュニケーションは「言葉だけが主役ではない」

私たちが生活の中で取るコミュニケーションは、
言語・文字の言語的な部分の情報と、
声のトーン・大きさ、話すスピード、表情、姿勢といった「身振り」に含まれる非言語の部分、
知覚を媒介して行われます。

知覚は、大きく下記の5つに分類されます。

目で見る
耳で聞く
鼻で香りを感じる
舌で味わう
触れて感じる

簡単に表現すると、「見て、聞いて、感じる」ことです。

「いらっしゃいませ。お待ちしておりました。佐藤様」
と同じ言葉で情報を伝えられても、不快と知覚されてしまえば、
コミュニケーションは成功しません。

コミュニケーションの主体となるのは、
単に言葉だけではないからです。
言葉以上に意識することの少ない非言語の部分が、
受け手への伝わり方に大きく影響しているのです。

コミュニケーションの主人公を受け手にする

言葉以外の部分が主役のコミュニケーションについて
もう少し、具体的にお伝えしましょう。

母親と子どものある場面を想像してください。
母親は、宿題をやらずに遊んでばかりいる子どもに苛立っています。

そんな時、母親が怒りにまかせた口調で「宿題はした?」と言えば、
子どもは責められていると感じるでしょう。

しかし、母親が自分の感情を整えてから、
優しい声で「宿題はした?」と言うと、
子どもは心配されていると感じます。

同じ言葉なのに相手の捉え方が変わるのは、
コミュニケーションは言語(言葉・文字)の部分より、
非言語の部分の影響が大きく、大切だという証拠です。
そして、子どもの将来を心配した言葉だとしても、
気持ちが伝わらなければ、そのコミュニケーションは失敗に終わってしまいます。

自分がどう伝えたかではなく、相手がどう受け取ったか。
コミュニケーションの主人公は、常に「受け手」なのです。

そのため「受け手」を理解することで、相手に変化や気づきを与えられることも確かです。

例えば、上司に「なぜ、同じ失敗を繰り返すんだ!」と責められたとしましょう。
その時、部下であるあなたが、感情的にならず、
落ち着いて上司を理解できるようにコミュニケーションしたとします。

すると上司は、部下を責めてばかりいる理由に気づくかも知れません。
「部下を育てられない、自分の未熟さに苛立っているのかも…」
「重要な仕事を任せっきりにしてしまっていた…」

失敗から学ぶ責任は部下にあったとしても、
失敗を責めることしかできない上司の責任は部下にはありません。
それはただ単に、上司のコミュニケーション能力が不足しているだけであり、
そのことに部下が落ち込む必要はないのです。

上司自身がその動機に気づけば、部下に対するコミュニケーションは自然と変化するはずです。
上司には、「前回と同じことが起きたな。君が一番辛いな…。
どうしたらいいか考えよう」と優しく問いかける選択肢もあったのですから。

なぜ、いくら学んでもコミュニケーション能力が向上しないのか?

コミュニケーション能力の学びには、3つの段階があります。
まずは、基本的なテクニックを身に付けること。
そして次に、どのコミュニケーション能力を身に付けるのかという段階です。

先に、あるイソップ童話の話をご紹介します。

中世ヨーロッパの町で3人のレンガ職人が働いていました。
そばを通りかかった旅人が、一人ひとりに「あなたは、何をしているのですか?」と尋ねます。

1人目の職人は「生活の糧を得るために仕事をしている」と答えました。
彼は、まず職人として大切な基礎を身に付けようと仕事をしています。

2人目は「立派なレンガ職人になりたいと思って仕事をしている」と答えました。
彼は、基礎を身に付け、今度は、技術を磨き成長するために仕事をしています。

3人目は「立派な教会を建て、人々に喜んでもらうために仕事をしている」と答えました。
基礎や技術を身に付けた彼は、そのスキルを社会貢献のために使いたいと仕事をしています。

彼らの職業は同じレンガ職人ですが、仕事に向かう目的の違いの背景には、
それぞれの能力(スキル)の違いがあるのです。

コミュニケーション能力にも同じように段階が存在します。

A) 自分を安定させるコミュニケーション能力
B) 自分を成長させるコミュニケーション能力
C) 誰かに貢献するためのコミュニケーション能力

これらの能力は、A→B→Cの順に学ぶことで身に付くものであり、
その段階を無視し、やみくもに学んでもコミュニケーションで成功することは、
ほぼ不可能となります。

では、その3つの段階をもう少し詳しく説明しましょう。

自分を安定させるコミュニケーション能力

日常的なストレスを受けた時も安定した自分を維持できる能力です。
例えば、上司に理不尽なことを言われても落ち込まないスキル。
嫌なことがあったときに、お酒や食べ物に逃げないスキル。
ネガティブな気持ちを抱え込まない能力です。

自分を成長させるコミュニケーション能力

この能力には、相手を理解し、相手と信頼関係を構築する基本テクニックが含まれています。

もしかすると、次のような言葉を耳にしたことがある方もいるかもしれません。

傾聴
相づち・うなずき・オウム返し
ペーシング:相手の姿勢や声の質に合わせる
ミラーリング:鏡のように相手と同じような姿勢をとる
相手が自ら気づき変化していく戦略的質問

これらは相手を理解し、信頼関係を構築するための基本的なテクニックであり、
円滑な人間関係を構築する手助けをしてくれます。
人間関係の問題は、そのほとんどが理解不足から生じてしまいます。
そのため、相手を理解し、自分との違いに気づくことができなければ、
人間関係を構築すること自体が大きなストレスとなります。
逆に、相手との違いを理解すれば、我慢することも、ストレスを抱えてしまうこともありません。
悩み、そして、考え込む時間がなくなる結果、自分のための時間を増やすことができます。

さらに、相手を理解するコミュニケーションの基本テクニックが身に付くと、
今度は、自分を成長させることが容易になります。
なぜならば、相手を理解することは、自分を理解することにつながるからです。

もっとできたはずだった…
なぜ、あのようにしなかったのか…
あのときの出来事をやり直したい…
この先どうすればいいのか…
まわりに認めてもらえない…
自分には価値があるのか…

人生には失敗や後悔が付き物です。
そこから目をそらすのではなく、その時の自分を理解することで、
誰しも感じた経験があるであろう自分自身の不快なテーマからラクに抜け出せるようになり、
初めて自分と上手に付き合えるようになります。

誰かに貢献するためのコミュニケーション能力

A)自分を安定させる。
B)相手を理解し、自分との付き合い方を知る。

これらのスキルを身に付けることで、
相手を支援するコミュニケーションが可能になり、コーチ、カウンセラー、セラピストといった心理のプロとして、
まわりの人生をより肯定的に支援できるようになります。
そして、これらの社会貢献できるスキルによって経験を積むことで、
コーチ、カウンセラー、セラピストのすべての役割が担えるメンターとして、
まわりを支援することが可能になります。

その貢献できるスキルの基本となるのが、
コミュニケーションにおいて相手の「言葉以外の部分(非言語)」を観察することです。
相手の非言語を観察できるようになると、
相手の心を察することが可能になり、
一言で相手に大きな変化をもたらすきっかけとなる言葉が使えるようになるのです。
観察するためには、
A)自分が落ち着き安定していること、
B)傾聴・ペーシングといった基本テクニックを要するため、
スキルを段階的に身に付けることでこそ、コミュニケーションは成功するのです。

コミュニケーション能力を向上させるコツ

コミュニケーション能力を向上させ、そして極めるには3つのコツがあります。

一つ目のコツ:体験する

1つ目は小さな一歩を踏み出すことです。
とにかく「始めてみる」ということです。

例えば、ピアノに興味を持ったら、
誰かが弾くピアノを聴くだけでなく、自分で弾いてみることです。
極めようとするのであれば、
自分で体験することが大切です。

体験することで、小さな改善や大きな挫折と出会います。
それらは学ぶプロセスに起きるストレスです。

そして、上達するには、
それらのストレスは歓迎すべき反応です。

なぜならば、
学びのプロセスにあるストレスこそが、
私たちを成長させてくれる種になり、
私たちの能力を向上させてくれるからです。

二つ目のコツ:良い師匠に出会う

一言でコミュニケーション能力(スキル)と言っても、
多くの分野があります。

コーチング
カウンセリング
セラピー
傾聴
ティーチング
プレゼンテーション
そして、
コーチング、カウンセリング、セラピーを、
相手に合わせて使い分けるメンタリング。

また、コーチングの種類も様々です。
エグゼクティブコーチ
ライフコーチ
メンタルコーチ
ビジネスコーチ
等など、数え切れないほどです。

コミュニケーション能力を向上させたいのであれば、
それぞれの専門分野のプロに学ぶことが大切です。
その中で、自分にピッタリの分野を見つけることをお勧めします。

三つ目のコツ:「好きこそ物の上手なれ」

あなたは、誰かを支援することが好きですか?
あなたは、自分を(ゆっくり)成長させたいと願っていますか?

もし「イエス」なら、
コミュニケーションを学び続けることができるでしょう。

コミュニケーション能力を極める3つ目のコツは、
一番大切な、継続することです。

なぜならば、
学び続けると、これまでは知覚できなかったことを、
感じられるようになるからです。

続ける人だけに見えてくる情景があります。
続ける人だけに聞こえてくる音があります。
続ける人だけに感じられる気持ちがあります。

続ける人だけに、
相手を感じられる『心』が育つのです。

コミュニケーション能力は学び続けることで育ち続ける。
まさに「継続は力」なのです。

そして、コミュニケーション能力を向上させると、
自分とまわりを自然に変容させることが可能になるのです。

最後に

コミュニケーションを学ぶ目的は、人それぞれです。

職場・家庭・友人等、人間関係を改善したい
仕事で卓越した成果を出したい
ストレスと向き合う方法を知りたい
パートナーと上手に付き合いたい
家族と幸せに暮らしたい
自分を理解して楽しく暮らしたい

なぜ、親は宿題をしない子どもを「勉強しなさい!」と叱ってしまうのか。
理由は簡単です。
親のコミュニケーションは、子どものためではなく、自分の都合だからです。

塾の経営者の方に、子どもが勉強しない3つの理由を教えてもらったことがあります。

勉強ができないと言って親を悲しませたくない
勉強ができないことを恥ずかしくて言えない
勉強の仕方を知らない

このような子どもの気持ちを、親はどれくらい理解しているのでしょうか。

なぜ、親を悲しませたくないだけの子どもを、親は叱れるのでしょう?
なぜ、恥ずかしいがために言えない子どもを、親は叱れるのでしょう?
なぜ、勉強の仕方が分からないだけの子どもを、親は叱れるのでしょう?

コミュニケーションのミスマッチは、相手を理解していないときに起きます。
そして、コミュニケーションを学ぶことで、
いかに自分が相手を「観察」せずにコミュニケーションしているかに気づくことができます。
それこそがコミュニケーションを学び続ける最大の成果です。

まわりとの人間関係が上手くいかないのは、お互いを理解し合えていないからです。
そして、もし相手がそのことを知らないのであれば、自分から相手を理解しなければなりません。

私たちは日々のストレスから逃げることはできません。
しかし、ストレスに出会ったとき、
それはコミュニケーションを学ぶ最高の機会だと考えられるようになったとしたらどうでしょうか。
ストレスを歓迎し、向き合う能力が育つはずです。

そしてその能力が、自分を安定させるというコミュニケーション能力の土台となるのです。

2004年にコミュニケーションを広く伝える団体を立ち上げ、
今では年間3,000名を超える方が1日講座に参加してくれるようになりました。

参加される皆さんが抱えるテーマは、大きく次の3つです。
第1位「コミュニケーションが上手くなりたい。ストレスから開放されたい」…70%
第2位「自分を知りたい」…20%
第3位「まわりの役に立ちたい」…10%

コミュニケーションに対する苦手意識やストレスで困っている方は、本当に大勢います。

人生の幸せにするものとは?

そう聞かれたら、多くの人、とりわけ若者は、富や名声だと答えるでしょう。

しかし、アメリカで現在も行われている幸福に関する研究によると、人生を振り返る年齢になった、その時。
私たちの幸せな記憶として脳裏に浮かぶのは、無我夢中で働いて得た成功でも、
富でも名声でもなく、ほとんどが誰かと共有した時間の記憶だと言われています。
そして何より、孤独ではなく家族、友人、コミュニティなど、
まわりと繋がること自体が健康にもいいと。

つまり、人生を幸せで健康にするのは「良い人間関係」、これに尽きるのです。

コミュニケーションに悩む人だけでなく、
多くの人たちの「幸せ」に関わるコミュニケーション能力。
まずは1つ目のコツ、小さな一歩を踏み出し、学びを「体験する」ことをオススメいたします。

あなたにお勧めの講座です。

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