【解説】人間関係に疲れたら|人間関係に疲れる理由と対処法
投稿日:2023年12月10日 / 最終更新日:2025年1月24日
「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」
アドラー心理学でこう言われるように、私たちは日々、人間関係に悩まされて、人間関係に疲れています。
では、なぜ、私たちは人間関係に疲れてしまうのでしょうか?
それは、我々が人間関係は上手くいくものだという期待を持っているからかもしれません。
しかし、一般的に、人間関係は上手くいかないものです。
例えば、愛を誓い合い結婚するカップルのうち、3組に1組は離婚し、その絆を断ち切ることになります。
離婚の原因のNO.1は、性格や価値観の不一致となっています。
この場合は離婚して距離を取ることで、人間関係のストレスからは解放されるでしょう。
しかし、職場の人間関係や親子の絆を断つことは、容易にはいきません。
簡単に離れることができないような関係の場合はどうしていくのがよいのでしょうか?
この記事では、人間関係に疲れる理由とその対処法をお伝えしていきます。
目次 [閉じる]
人間関係に疲れる人の特徴【恵まれない編】

価値観の違いは、人間関係に大きく影響します。
また、生まれ育った時代、環境により、人ぞれぞれの価値観は異なるため、相手と完全に価値観が一致することはありません。
だからこそ、自分の価値観も、相手の価値観も尊重する必要があります。
しかし、「自分は正しい」と、自分の価値観を相手に押し付け、自分の「正しい」以外を否定する人が少なからず存在します。
例えば次のようなケースです。
上司に恵まれない
上下関係や立場をわからせるために威圧的な態度を取ったり、自分の主張が正しいと証明するために相手を言い負かしたり、傷つけるような発言をする。
お客様に恵まれない
お客様が、自分の欲求が通らない原因を相手の側の配慮が足らないせいとして、自分の苛立ちを相手にぶつけてくる。
一方的な親
「あなたのため」「そんなことでは立派な大人になれない」「~するべきだ」などと言い、親の常識をベースに、そのレールの上を歩かせようとする。
このような方たちは、こちらに何も非がなかったとしても、自分の正しさを証明するために傷つけてきます。
相手に対してマウントを取り、相手の感情を犠牲にしてでも、自分の感情や意見、欲求を満たそうとするタイプの人間がいることを覚えておきましょう。
人間関係に疲れる人の特徴【変わっちゃった編】

人には一貫性を求める傾向があります。
特に人間関係では、自分と相手との間の「矛盾する信念や態度」によって生じる心理的な緊張や不快感を回避しようとします。
そして、相手の対応が、自分が期待した通りではなかったときに、人は少なからずショックを受けてしまいます。
また、関係の深い相手ほど、「自分のことをわかって欲しい」という相手に対する期待が大きくなり、相手の気持ちよりも自分の気持ちを軸にして相手を見るようになります。
パートナーが変わった
出会った当初はあんなに優しかったのに、今では労いの言葉もない…
私たちはパートナーが自分の要望に応え、 自分の望む通りに行動し、望みを叶え、人生をよりよく、心安らかで幸福なものにしてくれることを期待します。
そしてこの幻想が、現実によって壊されると怒りを感じてしまいます。
感情は、常に移り変わるものです。
愛、尊敬、平穏、退屈、不満…
あなたの感情は変わります。
パートナーの感情も変わります。
そして、感情が変われば、相手に対する態度も変わります。
子どもが言うことを聞いてくれない
自分は子どものためを思って言っているのに、どうしてわからないのか…
ここには、正しい方向に導こうとしているのだから、子どもは親の言うことを聞くべき「いい子」であって欲しいという期待があります。
子どもが言うことを聞かないのは当たり前のことです。
今、やりたくないことを、「嫌だ」と伝えているだけなのです。
友だちが変わった
置かれた立場や環境によって、人の意見や考えは常に変わります。
付き合いや関係性も、当然、変化するものです。
変わるのが当たり前にも関わらず、相手がいつまでも変わらないままでいてくれることを期待してはいませんか?
人間関係に疲れる人の特徴【自分の性格編】

健全な人間関係を築くためには、自分の考えや感じ方を他人に押し付けることなく相手の意見や感情を尊重することが鍵となります。
次のような特徴を持つ人は、人間関係を築く上で疲れやすい傾向があるかもしれません。
「これが正しいよね…」是非善悪タイプ
このタイプの人は、ものごとに対して強い価値観や信念を持っており、それが正しいと信じて疑いません。
自分の持つ「常識」や「基準」を他人にも求めます。
相手の意見や考え方と自分の価値観が合わないとすぐに対立し、自分の正しさを証明することにエネルギーを使います。
「やってあげたのに…」面倒を見過ぎるタイプ
相手のために行動することが多く、その行動を評価されないと感じると、失望や疲れを感じます。
自分のやりたい気持ちが行動の動機でなく、相手の感謝を期待して行動してしまいます。
「あなたのため…」親分肌タイプ
相手のことを考え、助けてあげたいと思う一方で、自分の考えや判断が正しいと信じ、それを「あなたのため」という言葉でカムフラージュして、押し付けることがあります。
相手を対等な立場ではなく、上から物を見ている場合が多く、ときには相手の意向を無視して行動することがあります。
「ねぇねぇねぇ…」場を読めないタイプ
相手の状況や相手の感情を、適切に読み取るのが苦手なタイプです。
自分がどうしたいかで行動を決め、相手のことは見えていないことがあります。
そのため、場の空気や流れに合わない発言や行動をしてしまうことがあります。
「だからね…」助言・指導対応タイプ
他人の問題や困難に対して、アドバイスや指導をするタイプです。
しかし、そのアドバイスが必要とされていない場面でも、自分の意見や経験を強調して伝えることがあります。
人間関係に疲れないための前提

この章では、人間関係で疲れないために知っておいていただきたい前提をお伝えします。
これらの前提を知り、理解することで、他者との関係に変化が起きるかもしれません。
視点を変えるだけで心は楽になる
今の人間関係がよいものではない場合、毎日どうしたものかと考えるだけでは、おそらく結論に達することはなく、ただ疲弊するだけです。
問題を抱えた人間関係には、以下のいずれかのアプローチを取る必要があります。
- 関係を切る、距離を取る、別れる
- 関係を続け、変えられる部分を変える
- 関係を続け、変えられない部分を受け入れる
人間関係に疲れ切ってしまっているのであれば、頑張ることをやめて、一度相手と距離を取って休んでみるのもよいでしょう。
相手の反応に一喜一憂し、どうしたらよかったのかと悩み、自分を否定したり、叱咤激励したりしながら頑張り続けて「傷ついている」自分の心を置き去りにしていませんか?
頑張らなければならないと思い込んでいることが、心を疲れさせてしまいます。
もちろん、問題は解決できるのであれば、解決した方がよいとは思います。
ですが、解決できなくても視点を変えることで気持ちを楽にすることはできるということは、知っておいてください。
対人関係の構築には時間がかかることを理解する
人間関係を築き上げたり、深めたりすることは、一夜にして成し遂げられるものではありません。
「対人関係の構築には時間がかかる」ことを理解することが大切です。
「時間がかかる」というよりも「時間をかけた方がよい」という考えの方がしっくりくるかもしれません。
焦らず、少しずつ相手との関係を築いていきましょう。
人生は誰もがはじめて。人間関係に不慣れなことを知る
人生は、誰もがはじめて経験するものです。
そして、はじめての経験に失敗はつきものです。
自転車に乗れるようになったときのことを思い出してみてください。
最初はバランスを取るのが難しく、何度も転んだかもしれません。
しかし、繰り返し挑戦することで、徐々に上手になっていきました。
人間関係も同じです。
不慣れなことや失敗を恐れず、繰り返し挑戦することで、自然と人間関係のスキルが向上していきます。
是非善悪を超えて、一人ひとりが生きていることを尊重する
人との関わりの中で、是非善悪を超えて、一人ひとりが生きていることを尊重する心持ちを持つことが大切です。
私はこう感じた。そして、あなたはこう感じた。
ここだけは、誰がどの方向から見たとしても、紛れもない事実です。
まずは、そこに焦点を置きましょう。
他人の選択や価値観を受け入れることで、心の負担が軽減され、より豊かな人間関係を築くことができます。
人間関係に疲れないための心理学

人間関係に疲れないためには、「心理的柔軟性」を高めることが重要です。
心理的柔軟性は、様々な状況に適応し、ストレスや困難な状況から回復し、またそのような状況で有効な意思決定をする能力を指します。
過去は未来のための練習
人は「良い出来事」よりも、「悪い出来事」の方が記憶に残りやすいという習性があります。
自分を脅かす危険な出来事を学習し、次回はそれを避けるためにその記憶を大事に握りしめて生きてしまいます。
人にはそういう傾向があるのだと理解し、悪い出来事に対する気持ちを横に置いて、今度はあえて「よいところ」に視点を向けてみましょう。
人に対して、自分に対して、優しさを持ちましょう。
人生で成功している人は、よいところに目を向けています。
よいところに視点を向けることで、「問題」ではなく「機会」や「可能性」に注意が向くようになるのです。
成功者はこのような経験を繰り返すことで、何か問題が起こったとき、「なんでダメだったのか?」と、ただ過去を責めて反省するだけではなく、「ゴールに向かうためには別のやり方があると知るチャンスだ」と学習します。
「過去は未来のための練習」として、これからどうするかに目を向けるようになります。
問題が起きたら自分に原因があると考える
人間関係で疲れる原因は他者だけではなく、「自分自身の性格や態度にもある」ことを、理解することが重要です。
自分の「弱点」や「性格の特徴」を理解し、それを改善しようと努力を重ねることで、人間関係も良好に進む可能性が高まります。
- 自分の考え方を変える
- 自分の行動を変える
- ストレス源への対処の仕方を変える
相手の感情や行動を、完全にコントロールすることは不可能です。
原因を相手の方に求めて、改善に導いていくのは至難の業です。
相手を変えようとするよりも、まずは自分自身を変えてみましょう。
そして、自分に原因があると考える際に陥りがちなのは、「正しい答えを求めてしまう」ことです。
でもそれは、どこの角度からものごとを見るかの違いであって、実は正しい答えなどないかもしれません。
完璧を目指すのはやめましょう。
完璧を目指すほど自己嫌悪に陥り、自分を責めてしまいます。
そして、人にも完璧を求めることで、信頼関係を築きにくくなります。
完璧を求める本人が完璧でいられないのですから、どこかで矛盾を抱えざるを得ません。
完璧である必要はありません。
理想と違うからといって、自分を責める必要はないのです。
完璧ではない、不完全な人間らしい自分自身を愛してあげてください。
まずは、自分と向き合い、「自分」を褒めることからスタートしましょう。
成熟した大人として「謝る勇気」を身につける
心理学の観点から、「謝罪」は人間関係の修復や維持において非常に重要な役割を果たします。
成熟した大人として謝罪の重要性を理解し、それを実践することは、個人的な成長や人間関係の強化に寄与します。
異なる視点を受け入れる
自分の視点だけでなく他者の視点や感情を理解し、受け入れることが重要です。
自身の行動や言葉が、どのように他人に影響を与えたかを考える
「柔軟性」があれば、相手の気持ちを尊重する真摯な謝罪ができます。
現状を受け入れる
自分の行動が他人に与えた影響を理解し、それを認めることは、自己の脆弱性を認め、自分の「恥ずかしさ」や「弱さ」と向き合うことになります。
まずは、状況をそのまま受け入れ、自分の感情や反応を正直に認識することです。
完璧であることを求めず、失敗や欠点を受け入れ、素直に謝りましょう。
自己との対話
自分の内面と対話し、自分の「価値」や「目標」が何であるかを明確にすることが大切です。
人間関係を大事にし、修復したいという価値があれば、その価値に基づいて行動する柔軟性が生まれます。
コミュニケーションの促進
謝罪は、両者間のオープンで正直なコミュニケーションを促進する機会となります。
これにより、将来的な誤解を避けるための「新たなコミュニケーション」を確立することが可能となります。
人間関係に疲れないためのコミュニケーション力

他者とよい関係を築くために、「コミュニケーション力」は欠かせません。
この章では、人間関係の構築に役立つコミュニケーションスキルをご紹介します。
非言語コミュニケーションの工夫
コミュニケーションは「言葉」だけではありません。
相手の表情や仕草、声のトーンに注意を払い、自分のボディランゲージが相手にどのように影響を与えているかを意識しましょう。
「ありがとう」という言葉を伝えるにしても、笑顔で話をするのと不機嫌そうな顔で話をするのとでは、与える印象は異なります。
ありがとうと言われた相手は、不機嫌そうな顔を見て、「本当は不満だったのかな?」と思ったのだとしたら、それは「伝え方に問題がある」ということなのです。
「ありがとうと言ったのに、あの人には伝わっていない」と考えるのは、相手の気持ちを見ていないことに他なりません。
コミュニケーションは、相手が主役。
「相手にどう伝えるか」ではなく、「相手にどう伝わるか」が重要なのです。
「相手のよい部分」を探してフィードバックする
人間関係において重要なのは、相手を認め、価値を見出すことです。
「自分のことを見てくれている」
「価値ある存在と認められている」
「尊重されている」
人は誰でも、認められたり褒められたりするのは嬉しいことです。
承認欲求が満たされます。
相手の小さな成果や努力を見逃さず、積極的に褒めたり感謝の意を示したりすることで、相手との関係がポジティブな方向に向かい、一緒にいる時間がより有意義なものになります。
相手をよく観察しましょう。
相手のことを素直に認めて、それを言葉にして届けることを続けると、自然とよい部分に目がいくようになっていきます。
また、相手の行動や態度をきっかけに、自分が相手から恩恵を受けていると気づき、感謝の気持ちが芽生えたのなら、ぜひ、その「感謝」も伝えましょう。
相手が喜ぶ様子を見ることで、自分自身の幸福度も上がります。
「自分のよい部分」を探して自分にフィードバックする
他者だけではなく自分にも、優しい言葉を掛けてあげましょう。
できなかったことではなく、できたことを数えてみてください。
持っていないものではなく、今持っているものに目を向けてみましょう。
自分を認め、自分にOKを出してあげてください。
自分自身にも同じく、小さな成功や前進を認め、自分を褒めることが重要です。
自分自身を肯定することで自信が生まれ、他者とのコミュニケーションでもポジティブな影響を及ぼします。
豊かさに意識を持っていけば、「どのような状況であっても、ポジティブな要素が必ず見つかる」という確信が持てるようになります。
ストレスや挑戦的な状況を乗り越えるうえでの「レジリエンス(回復力)」にもつながります。
コミュニケーションのテクニックには限界がある
全ての人間関係が同じではないように、コミュニケーションのテクニックも万能ではありません。
人は一人ひとり違います。
大切なのは、相手の特性や状況を敏感に察知し、その人、またはその瞬間に、もっとも適したコミュニケーション方法を探求し続ける柔軟性です。
相手を知ること。
自分自身を知ること。
未来のための練習を繰り返し、学んでいくことで、コミュニケーションは上達していきます。
まとめ|人生は誰もがビギナー。はじめての人間関係づくりを楽しもう

人間関係においては、完璧を求めず、失敗と学びを受け入れることが大切です。
毎回がはじめての経験であり、失敗は成長へのステップです。
人生は誰もがビギナーです。はじめての人間関係づくりを楽しみましょう。
その前向きな姿勢は私たちに、恐れずに新しい関係を築く勇気と自分自身と他者の両方から学ぶ機会を提供してくれます。
このプロセスを通じて、「自分と未来は変えられる」のです。
人間関係をよくするためには、まず自分を理解し、相手を尊重することが大切です。
相手のよい部分を見つけてフィードバックし、自分も肯定的に捉えることで、関係はよりよいものになります。
人間関係の悩みは、「共感」と「理解」で解決できることも多くあります。
視点を変えることで、気持ちを楽にすることもできます。
まずは一歩を踏み出し、積極的なコミュニケーションを心がけ、人間関係をより豊かなものにしましょう。