【解説】子育てコミュニケーション|親子関係が壊れてしまう理由と解決策
投稿日:2025年1月28日 / 最終更新日:2025年2月4日
「子育て、これでいいのかな…」
「子どもの将来が不安…、心配…」
「最近、意見が合わない…」
「接し方が上手くいかない…」
「言葉を受け取ってもらえない…」
「こんな性格だとは思わなかった…」
「知らなかった一面が見えてきた…」
子育てって、難しいですね。
そして、完璧な子育てなんて、ないのかもしれません。
それでも親として、しっかりと子どもを育てたい…と思うことでしょう。
私自身、子どもの不登校、家庭内暴力、拒食症(摂食障害)など、子育てを経験して25年。
そして、約10年前から、子育てに関する相談を受けるようになりました。
令和3年3月に発表された国立精神・神経医療研究センターの報告によると、「摂食障害」で医療機関を受診している人の数は年間22万人に上ると推定されています。
また、令和6年10月に発表された文部科学省調査によると、令和5年度の小・中学校における不登校校児童生徒数は約35万人となり、過去最多を記録しました。
子育てが本当にむずかしい時代です。子育てに悩んでいる方が驚くほどたくさんいらっしゃいます。
この記事では、子育てコミュニケーションのコツをお伝えします。
少しでも、子育てに向き合う皆様のお役に立ちますよう願っています。
目次 [閉じる]
子どもとの関係が壊れていく理由|子どもには親に言いにくいことがある
子どもとのコミュニケーションには、いくつかの原則があります。
その一つが、子育てコミュニケーションの主人公は「子ども」だということです。
多くの方が、この原則を誤解しているようです。
親としての無償の愛や、成長するためのサポートを子どもに伝えようとしても、子どもがそれを受け止めなければ、コミュニケーションは成功ではありません。
例えば、子どもから「塾をやめたい」と告げられたとします。
一般的には、このようなコミュニケーションになると思います。
子:「塾、やめたい」
親:「なんで?」
子:「やめたいから…」
親:「何があったの?」
子:「何もない…」
親:「何もないじゃ、分からない…」
このコミュニケーションは失敗ですね。
なぜならば、コミュニケーションの主人公が「子ども」ではなく、「親」になっているからです。
子どもが主人公のコミュニケーションとは、次のような流れです。
子:「塾、やめたい」
親:「正直の教えてくれてありがとう!どうしたの?」
子:「塾に行っても、つまらない…」
親:「つまらないの?」
子:「そう。進むのが早すぎて…」
親:「そうなの…、自分のペースで勉強したいの…」
子:「そう!」
親:「どうすれば、自分のペースで勉強できるかな…」
子:「家なら、自分のペースでできるかな?」
これが求められるコミュニケーションです。
親の立場としては、塾を続けさせたいかもしれません。
子どもが塾を続けるのか?やめてしまうのか?
コミュニケーションの結果、どうなるのか?
それを約束することはできません。
コミュニケーションとは、双方向で、意思・気持ち・感情・考えを疎通させることです。
ですから、主人公である子どもの意思・気持ち・感情・考えを確認することから始めることが、子育てコミュニケーションを成功させる最低限の条件なのです。
もし、親の立場として塾を続けさせたいとしても、主人公である子どもを中心にコミュニケーションをしましょう。
もし、子どもに深刻なことが起きていたとしたら?
どうしても塾に行きたくない理由があるとしたら?
それを親に伝えてくるのでしょうか?
親に心配をかけたくないなどの理由で、親に本当のことが言えないのかもしれません。
「そんなに甘やかしたら、子どもはわがままになりませんか?自分勝手になりませんか?」と、心配になる方もいると思います。
しかし、子どもの意思・気持ち・感情・考えを尊重せずに、深い親子の絆がつくれるのでしょうか?
そしてこれは、親子に限ったことではありません。
自分の意思・気持ち・感情・考えを尊重してくれない相手に、心を許すことができるのでしょうか?
親子の信頼関係、絆は、親と子の双方向で、意思・気持ち・感情・考えを尊重し合うことがスタートなのです。
どんなに小さな子どもだって、立派な一人格なのです。
「言うことを聞かない子どもへの感情、イライラや不安…、親の気持ちはどうなるのよ!」と、ストレスを感じる方もいるでしょう。
子育てコミュニケーションは、子どもに感情をぶつけることではありません。
「子どもとのコミュニケーション」と「自分の感情の処理」は、まったく別問題です。
親の子育て中のストレスを子どもにぶつけてしまうことは、親子のコミュニケーションの最悪なシナリオの一つです。
そして、仕事のストレスを家に持ち帰り、子どもにぶつけてしまうことは、さらに最悪なシナリオです。
子どもとの信頼関係をチェックする3つの問いかけ!
ご自身が子育て上手な親なのか、チェックする問いかけがあります。
子どもに次の3つの質問をしたら、子どもは「はい」と答えてくれるでしょうか?
「敬意をもって育てられていますか?」
「より良い社会にするために必要な、教育支援の機会を与えられていますか?」
「子どもの成長が、親を大人にしてくれていることを親は知っていますか?」
この問いは厳しいものです。
子どもとの関係、子育てコミュニケーションを、親が自己責任として捉えるようになれる指標だからです。
この3つの問いが、子育てをする親にとって、子どもとコミュニケーションをする基本になると思います。
「敬意をもって育てられていますか?」
この質問は、親が子どもを一人の人間として尊重しているかどうかを考えるきっかけになります。
子どもの一人格を尊重することで、信頼関係が築かれ、子どもは自分の価値を確認し、自信をもてるようになるでしょう。
子どもが尊重されていると感じることで、他者を尊重することを学び、社会を生きていく人間関係を築く基盤が育ちます。
「より良い社会にするために必要な、教育支援の機会を与えられていますか?」
親が子どもにどのような教育の機会を提供しているかは、とても重要なポイントです。
教育の支援は、子どもに学ぶことの面白さと、自分の成長を感じる機会を提供します。
この問いを実践することは、子どもが成長していくための知識やスキルだけでなく、子どもの将来の可能性を広げ、社会貢献につながる育成の大切な要素となります。
「子どもの成長が、親を大人にしてくれていることを親は知っていますか?」
この問いかけを通じて、親は、子育てが自分自身の成長にもつながっていることを再認識できます。
子どもを育てる過程で、親はさまざまな学びを得て、大人としての器が広がります。
子育てのプロセスが、親に自己成長の機会を与えていると理解することで、親としての役割を一層積極的に受け入れ、子育てを喜びとして認識することができるようになるのです。
これらの質問は、親としての行動や考え方に対する自己反省を踏まえ、子育てが孤立する「育児」ではなく、親が自ら成熟していく「共同成長のプロセス」であることを認識させます。
子育ては「共同成長のプロセス」
子育てを「共同成長のプロセス」と自覚することで、親と子どもが共に学び、互いに成長し続けることができます。
子育てを通じて人生をより豊かにし、深めることができるのです。
「共同成長のプロセス」としての子育ては、親が子どもを育てる「一方通行の関係」ではなく、親自身も子どもからの影響を受けて成長する「双方向の関係」です。
子育ては、学びの場なのです。「共同成長のプロセス」を楽しみましょう。
親の感情や態度が子どもに大きな影響を与えることが、心理学の研究で明らかになっています。
親の笑顔やポジティブな姿勢は、子どもに安心感と自己肯定感を与え、健やかな成長の礎となります。
親が笑顔でいると、家庭に明るい雰囲気が生まれ、子どもは安心して自分らしく育ちます。
さらに、親の前向きな姿勢を見て育つ子どもは、物事に対して前向きな考え方を身につける可能性が広がります。
子育てがストレスになるときも、親自身が「共同成長のプロセス」の喜びや楽しみを見つけることで、笑顔が増えるでしょう。
それこそが子どもに、幸せと人生を生きる力を身につけさせるのです。
まとめ
前半に、こんな課題を残しておきました。
「そんなに甘やかしたら、子どもはわがままになりませんか?自分勝手になりませんか?」
自立できる年齢の子どもなら、さっさと家を飛び出すかもしれません。
もし、自立できない年齢の子どもに、親が感情をぶつけたらどうなりますか?続けたらどうなりますか?
子どもは脅されることに慣れます。
良くない子育ての方法を学びます。
感情をまわりに向けることを学びます。
子育てコミュニケーションの主人公は子どもです。
コミュニケーションとは、感情を相手にぶつけるものではありません。
それでも、子どもは親に感情をぶつけてくるかもしれません。
「言うことを聞かない子どもへの感情、イライラ、不安…親の気持ちはどうなるのよ!」
繰り返します。
コミュニケーションとは、感情を相手にぶつけるものではありません。
怒鳴らない。
不安にならないで、将来を信じる。
そのために、コミュニケーションと一緒に、心理学を学んでください。
「共同成長のプロセス」のパートナーである、子どもを大切にしてください。