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コミュニケーションとは? コミュニケーションの本質を知ろう!

一般財団法人日本コミュニケーショントレーナー協会

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コミュニケーションとは? コミュニケーションの本質を知ろう!

更新日:2023年10月19日
公開日:2022年2月4日




コミュニケーションをもっと上手くとれるようになりたい。
あなたはそう思ったことはありませんか?

人間関係を円滑にするスキルとして、コミュニケーション能力を求められる機会は増えています。

2018年に文化庁から「分かり合うための言語コミュニケーション(報告)」が発表されました。

報告によると、価値観が多様化し、共通の基盤が見つけにくくなるおそれのあるこれからの時代において、
言葉によって考え方や気持ちを表し、互いに対する理解を深めていくことが欠かせないため、
「分かり合うためのコミュニケーション」が今後の課題として焦点化されました。

その中でも特に言葉によって円滑に伝え合うための手がかりとして、
「正確さ」「分かりやすさ」「ふさわしさ」「敬意と親しさ」の4つの要素を
目的に応じてバランスよく生かしていくことが重要であると今回の報告では提案されています。

また、日本経団連が調査した「新卒採用に関するアンケート調査」では、選考時に重視する要素として
2004年から16年連続で「コミュニケーション能力」が第1位となりました。

調査によると、求める資質の上位5位までにコミュニケーション能力がランクインした企業は8割以上。
多くの企業がコミュニケーション能力を求めています。

ただ一方で、その「コミュニケーション能力」が、その企業にとってどのようなものを意味するかはとても曖昧です。

論理的、具体的な説明能力

  • 会話を膨らませて、相手の興味を引く話し方

  • 周りの人間との関係性の築き方

  • 課題にぶつかったとき、周りとどう折り合いをつけて解決に至ったか

  • つい気を許してしまうような人柄


このように「コミュニケーション」は、とても多様なものとなっています。

また、求められる「コミュニケーション」も、どんどん変化していきます。

若手社員に求められるコミュニケーションであれば
職場のメンバーと打ち解けてやっていけそうかなどの人間性や
上司に対し、報告・連絡・相談(報・連・相)がしっかりできることなどが求められるでしょう。

中堅社員に求められるコミュニケーションであれば
関係者から情報収集したり、課題解決や新しい提案をし
チームとしてメンバーを支えたり引っ張ったりする。

周りの人間と信頼関係を築き、仕事で結果を出すことが必要となります。

管理職に求められるコミュニケーションであれば、傾聴力もポイントとなります。

部下の話を聞いて方向性を示してあげたり、叱咤激励したり、
モチベーションの維持やメンタルヘルスに気を配ることも必要でしょう。

コミュニケーションは、相手との関係性でその手段は変わるものなのです。

では、今のあなたに必要なコミュニケーション能力とは、何なのでしょうか?

企業でコミュニケーションが求められ、重要視される一方で
本当に正しくコミュニケーションを理解できている方
実践できている方は、実はとても少ないのが現状です。

組織内のトラブルの90%以上は、コミュニケーションのミスによって起こるといわれています。

企業が16年間も「コミュニケーション能力」を求め続けているのは
コミュニケーションミスが一向に解決できないことを現しているのかもしれませんね。

この記事では、「コミュニケーションとは何なのか?」をお伝えし
コミュニケーションをとることのメリット、コミュニケーションの上達のポイントを紹介します。

あなたが必要とするコミュニケーション能力について、学んでみてください。

 

コミュニケーションとは? コミュニケーションの定義

コミュニケーションとは、感情や意思、情報を受け取り合うこと、伝え合うことです。
ここでは、あなたがコミュニケーションを理解するために、
大切なポイントを3つご紹介します。

コミュニケーションは2種類ある

コミュニケーションには、「言葉によるコミュニケーション」と
「非言語コミュニケーション」の2種類があります。
非言語コミュニケーションとは、言葉以外のコミュニケーションのことです。

他者とコミュニケーションを図る上で、態度や姿勢、表情や顔色
声のトーン、話す速度、ジェスチャー、視線などは、言葉以上に大きな役割を果たします。

相手に対し、「ありがとう」と言葉に出して伝える。
これは言葉によるコミュニケーションです。

では、心から感謝して伝える「ありがとう」と、
「余計なことをしてくれたな」と思って伝える「ありがとう」を想像してみてください。

「ありがとう」と発する声のトーンや表情、その言い方、相手に対する視線など、
この「ありがとう」には、言葉だけではなく、非言語のコミュニケーションが乗ってくるのです。

非言語のコミュニケーションによって、
同じ言葉でも全く異なる感情を意味することになります。

どんなにいい言葉でも伝える側の状態がしっかりしていなければ、相手には伝わりません。
言葉も大切ですが、非言語もとても大切です。

こうした非言語コミュニケーションを、私たちは無意識に、ときに意識的に使い分けています。

だからこそ、私たちはただ言葉のままの情報を受け取るのではなく、
相手の非言語コミュニケーションを読み取り、言葉の背景を考えなくてなりません。

情報伝達とコミュニケーションは異なる

企業内では、情報伝達がお互いにしっかりできていることを、
コミュニケーションがとれている状態だとしがちですが、これは誤りです。

これはコミュニケーションではなくて情報伝達です。
情報は、論理的で、誰もがその言葉通りに受け取れるもので、そこに感情は発生しません。

情報伝達とコミュニケーションは異なります。
例えば、Aさんが上司に依頼され、急いで資料をまとめたけれど
当日の会議で使われなかったとしましょう。

「この件は議題から外れて、資料は使われなかった」
という結果の情報だけを聞かされたとき、Aさんはどのように感じるでしょうか?

急いでまとめた自分の頑張りが報われなかった
本当に急ぐ必要があったのかと、モヤモヤすると思います。

一方、その上司から、
「この件は議題から外れて、資料は使われなかった。急ぎでまとめてくれたのにすまなかった。
次回の議題にも挙げるから、そのときに使わせてもらうよ」と言われたらどうでしょう。

Aさんの仕事が報われなかったことに変わりはありませんが、上司の態度から、
「頑張ってくれたのに申し訳ない」という感情が伝わることで、
Aさんの気持ちは、おそらく前者とは違ってくるのではないでしょうか?

非言語コミュニケーションのところでもお伝えしたように
コミュニケーションは態度に現れます。

この場合、単なる情報伝達ではなく、上司の感情が伝わることで
上司とAさんの中でコミュニケーションが成立し、
「この件は議題から外れて、資料は使われなかった」という情報を
Aさんが受け止めることができるのです。

相手とのコミュニケーションが成立してから、相手に情報が伝わったのです。

コミュニケーションは受け取る側の反応によって決まる

コミュニケーションは、「受け取る側」によって成立します。
コミュニケーションにおいては何を伝えたかではなく、「どのように伝わったのか」が大切なのです。

「あなたが伝えた = 相手に伝わった」ではありません。
「あなたが想像したもの = 相手が想像したもの」ではありません。
「言葉が伝わった = 内容が伝わった」ではありません。

よくいわれるのが、「伝える」と「伝わる」の違いです。
「伝える」は、発信者の考えや報告を一方的に相手に受け渡す行為であり
あくまでも主は発信者です。

相手の理解や承諾、反応を受け取ることなどは前提とされていません。

それに対し「伝わる」は、発信者の発した内容が相手に通じている状態のことです。
主体になるのは相手となります。

発信者の投げかけから相手の行動や理解・感情が喚起される
相手に気づきを与え、次のアクションへと促すことになります。

また、同じ単語や言葉に対しても、各人が理解している意味や価値観、前提は異なります。
例えば、渋谷駅から最寄りの郵便局までの地図を渡すとします。
あなたはどのような地図を準備するでしょうか?

  • 目印となるような大きな建物と道だけの省略した地図
  • Googleマップをそのまま印刷したかのように、どこに何があるのかまで詳細に描きこまれた地図

人によって頭の中に描く地図は異なります。

北を上にして描かれていないと理解が難しい人もいるかもしれないし、
縮尺具合やおおよその時間が書いていないと、どれくらい歩けばいいのか
不安になる人もいるかもしれません。

また、初めて渋谷駅に来た人は、どの改札出口なのかを書いてもらわないと
駅から出ることさえできないかもしれません。

このように、価値観や前提によって、認識のズレを生み出してしまいます。
そして、とても厄介なのが、「言葉が伝わった = 内容が伝わった」ではないことです。
私たちは、相手が話した言葉や文章を、無意識的に自分の経験に置き換えて理解してしまいます。

例えば「近くに買い物に行ってくるから、戻ったらすぐに電話するよ」と言われたら、
あなたは、どのぐらいで電話が掛かってくると思いますか?

相手が話していた「近くに買い物」とは、家の隣のコンビニかもしれないし、
片道20分の最寄りの駅の繁華街かもしれないし
最寄りの駅から2駅先の都心のデパートかもしれません。
買い物時間も30分なのか、1時間なのか、3時間なのかは分かりません。

それにもかかわらず、相手の話から自分の尺度に置き換えて
電話が来る時間を想像していたのです。

この3つのポイントを踏まえた上でまとめると、「コミュニケーション」とは
認知や価値観などの前提のズレを考慮した上で
相手に合った表現方法によって、こちらの意志を伝え受け取ってもらうこと。

「コミュニケーション能力」とは、相手にこちらの意志を伝えて気づかせたり、
どうしたらいいか自己決定をしてもらったりして
次のステップへと相手の行動を変えていくチカラです。

つまり「コミュニケーション能力」は、人を動かすチカラともいえます。

ミスコミュニケーションの原因とは?

組織内のトラブルの90%以上は、コミュニケーションのミスによって起こります。
ミスコミュニケーションが起こる原因は、大きく3つあります。

発信者と相手に認識の違いで、相手に伝わっていない

先ほどもお伝えしたように、同じ単語や言葉に対しても
私たちが理解している意味や価値観は人によって異なります。

また私たちは、相手が話した言葉や文章を
無意識的に自分の経験に置き換えて理解してしまいます。

「コミュニケーション」という言葉もそうです。
例えば、仕事で悩むAさんが、職場の先輩のBさんから、
「もっと周りとコミュニケーションをとった方がいいのでは?」と言われたとしましょう。

この言葉だけだったとしたら、先輩Bさんは、
職場でのコミュニケーションとはどういうことなのかを
Aさんに伝わるように話していません。

つまりAさんに
「どんなコミュニケーションが必要なのかは、空気を読んで自分で判断してね」と
言っているようなものです。
これでは先輩Bさん自身が、コミュニケーションをとれていないという悲しい状態になってしまいます。

先輩Bさんのアドバイスは、「空気を読んで考えろ」ではなかったはずなのです。

どちらかというとその逆で
「勝手に空気を読んで解釈して1人で進めるのではなく、周りの人と色々意思疎通を図って、
お互いの進捗を気にしたり、雑談してみたりしてはどうだろうか?」
というものだったかもしれません。

一方のAさんは、自らの解釈で、「もっと情報収集しろ」と言われたと思ったかもしれないし
「周りをよく見ろ」と言われたと思ったかもしれないし
「周りと話して笑顔で仕事をしたほうがいい」と捉えたかもしれません。

このように、コミュニケーションという単語に限らず
私たちが普通に使っている単語の意味は、個人によって質感が異なります。

本来、この場で必要なことは、以下のどちらかです。

  • Aさんにとって必要だと思う「コミュニケーションのとり方」について、先輩Bさんが言葉で伝える
  • Aさんが先輩Bさんに、どのようなコミュニケーションをとればいいのか尋ねる

解釈によって曖昧になりがちなものについては、特に気を配り、相手との認識を揃える必要があります。

企業が求めるコミュニケーションに影響を受け、正しい認識がされていない

企業で伝えているコミュニケーション研修のテーマは
「伝え方」「叱り方」「褒め方」が目立っています。

企業として目指すのは、まずは風通しの良い職場として、
部下が上司に相談や報告がしやすい「環境作りのためのコミュニケーション」です。
そのため、これらが選ばれやすいのでしょう。

これらの研修でお伝えしているテクニックは
きっと効果があり、素晴らしいものだと思います。

しかし一方で、そもそものコミュニケーションとはどうあるべきなのか、
なぜ今まで上手くいかなかったのかという部分に十分焦点を当てずに
「伝えること」「叱ること」「褒めること」に特化した
テクニックという処方箋を与えることになります。

「伝え方」としては、報告・連絡・相談の略称である
「報・連・相」が、仕事の基本として広く知られていますが
これは部下や後輩からの報告、連絡が来ることを前提としています。
また、上司としての「叱り方」は、部下を叱ることを前提にしたものです。

この場合はあくまでも
「コミュニケーション = 企業が求める理想に近づくための一部のテクニック」という、
社内で特化されたコミュニケーション方法であることを知っておく必要があります。

他の場所で同じように通用するものではないかもしれません。
コミュニケーションの本質は、もっと別にあるのです。

コミュニケーションの目的を見失っている

私たちが陥りがちなのが、「何のためにコミュニケーションを行うのか?」ということです。
よく勘違いしてしまうのが、自分の伝えたいことを相手に伝えることや、周りの人と仲良く話すことで満足してしまい、
次のアクションに繋がらないまま、「コミュニケーションをした!」と判断してしまうこと。

コミュニケーションを行う目的は、コミュニケーションをした結果、相手に求める行動をとってもらうことです。
コミュニケーションは手段です。手段と目的を一緒にしてはいけません。

あなたがコミュニケーションを行う目的は何でしょうか?

相手が考えてくれて、自分の意見に賛同してくれることかもしれないし
仲良くなってちょっとした頼みごとをお願いしやすい間柄なることかもしれないし
相手を理解して相手が考えていることに寄り添ってみて
自分の気持ちの整理をすることかもしれません。

私たちは、目の前にやるべきことに囚われて、その目的を忘れてしまうことがあります。
コミュニケーションの本質を理解することで、目的からの脱線を防ぐことができるのです。

いいコミュニケーションとは?

いいコミュニケーションとは、スバリ、相手と同じ目線に立って物事を見ることです。
自分が正しいと思っていることを伝えるだけでは、コミュニケーションは上手くいきません。

「自分の常識が相手にとっての常識とは限らない」という認識が
話がかみ合わなくなるのを防ぐ上で重要となります。

コミュニケーションを、キャッチボールにたとえることがありますね。
キャッチボールをするときは、相手にボールを受け取ってもらうため、
ボールを上手に投げるテクニックをコミュニケーションテクニックとしがちです。

もちろん、上手に投げることも大切なことです。

でも、相手と同じ目線に立つのだとしたら
ときにはこのようなキャッチボールとなるかもしれません。

  • 相手の感情を伺う(不安そうにしている、納得している、自信がありそう)
  • 相手の状態を伺う(初心者か経験者か、いつならできるのか、道具があるか、ルールなど認識が合っているか)
  • 準備が整ってから、相手に「今からボールが行くよ!」と声を掛ける
  • 投げても、転がしても、直接手渡しでもいいから、相手が受け取りやすい方法でボールを渡す
  • 相手に受け取ってもらう
  • 相手の手にボールが馴染んでから、相手のタイミングでボールを返してもらう

このように、相手の目線になって考えることで、

  • 私の認識や価値観、私の気持ちを大切にしてもらえると嬉しい
  • 強制されるのではなく、どんな選択であれ、自分が決定権を持ちたい
  • 否定はされたくない(相手も正しい、私も正しい)

など、今まで気がついていなかったことが見えてくると思います。

今後求められる「言語コミュニケーション」の最新像

ここでは、冒頭でご紹介した「分かり合うための言語コミュニケーション(報告)」についても触れながら、
今後求められる「言語コミュニケーション」の最新像について詳しく解説します。

「分かり合うための言語コミュニケーション(報告)」は、文化審議会国語分科会が2016年から検討してきた審議内容についての最新報告です。

文化審議会国語分科会は、国語の改善及びその普及に関する事項を調査審議することを目的に設置され、今後の国語分野についての重要事項を審議し、国の方針を決定するための材料として政府に意見を申し述べます。

つまり、今後この報告内容に沿って、国全体の言語コミュニケーションについて新たな取り決めや取り組みがスタートしたり、改善・普及していくことになります。

「正確さ」、「分かりやすさ」、「ふさわしさ」、「敬意と親しさ」

2018年の報告で焦点化された「分かり合うための言語コミュニケーション」の手がかりとして、
「正確さ」「分かりやすさ」「ふさわしさ」「敬意と親しさ」の4つの要素が挙げられました。

4つの要素それぞれには5つの観点が示され、より具体的にイメージできるようになっています。

正確さ
1、意図したことを誤りなく伝える言葉を用いているか
2、ルールにのっとって言葉を使っているか
3、誤解を避けるよう努めているか
4、情報に誤りがないか
5、情報は目的に対して必要かつ十分か

分かりやすさ
1、相手が理解できる言葉を互いに使っているか
2、情報が整理されているか
3、構成が考えられているか
4、互いの知識や理解力を知ろうとしているか
5、聞いたり読んだりしやすい情報になっているか

ふさわしさ
1、互いの気持ちに配慮した伝え方を考えているか
2、目的に調和した、感じの良い伝え合いになっているか
3、場面や状況に合った言葉遣いになっているか
4、相手や内容、目的に合った手段・媒体を使っているか
5、互いの言葉や言葉遣いに対して寛容であるか

敬意と親しさ
1、伝え合う相手との関係を考えているか
2、敬意をうまく伝え合っているか
3、親しさをうまく伝え合っているか
4、互いに遠ざかり過ぎたり近づき過ぎたりしていないか
5、用いる言葉が相手との関係や距離に影響することを意識しているか

今後求められる「分かり合うための言語コミュニケーション」とは?

以上のように、国の方針として、これから言語コミュニケーションは多様化する
社会に合うように国語の観点から言語コミュニケーションを整えていく方向性が
打ち出されていくことが予想されます。

私たち、コミュニケーショントレーナー協会でも、
コミュニケーション専門スクールとしての経験から、
これからの時代に求められる最新のコミュニケーション方法を伝えていきます。

 

コミュニケーションを上達させるポイントとは?

効果的なコミュニケーションをするためには、
コミュニケーションのゴールを明確化することと
相手の反応をよく観察することだとお伝えしてきました。

ここでは、相手に伝わるためのコミュニケーションテクニックのポイントをご紹介します。

相手と信頼関係を築く

コミュニケーションで大切なのは、まずは相手と信頼関係を作り、話しやすい環境を築くことです。
相手が身構えていて緊張しているような状態では、発信者の情報を受け取ることはできません。

初対面の人から話を聞くときに
「この人は大丈夫かな?」「信用していいのかな?」と思ったことはありませんか?

同じ内容だったとしても、初対面の人から説明されるのと、知人から説明されるのとでは、
受け取り方があなたの中で大きく変わってくるはずです。

初対面の人に限らず、伝えたいことを相手に受け取ってもらうためには、
相手が安心して会話を始められるような状況を作ることが大切です。

すぐに議題に入るのではなく、伝える内容が大事であればあるほど
それが受け入れやすい環境を事前に整えておく必要があります。

話しやすい雰囲気を意識的に作るテクニックは数多くありますが
ここでは「イエスセット(yes set)」を紹介します。

イエスセットとは、会話の中で相手に「YES(はい)」という肯定的な反応を積み重ねることで、

  • 相手が言っていることが「YES」
  • 相手の存在自体が「YES」

という「信頼関係性を築いていく」心理テクニックです。
YESは3つ以上重ねるとよいでしょう。

本題に入る前に、自己紹介やちょっとした世間話からスタートすることはあると思います。
イエスセットではなくても、相手を肯定的な反応にさせるような内容や言葉を選んで話をしてみてください。

相手の話をよく聞く

「聞く力」は、信頼関係を築くコミュニケーションの基礎となります。

コミュニケーションをとる場面で相手が満足感を得られるのは
「自分が話したいことを伝えられたとき」であるため
相手の満足感を重要視するのであれば、「話を聞くこと」に徹することがポイントです。

言葉で表現されたものをそのまま聞くだけではなく、
非言語(姿勢や態度、表情、しぐさ、声の調子やトーン)で表現されたものにも
あなたの心を傾けてみてください。相手と呼吸を合わせてみましょう。

また、相手が話をしている最中に、口を挟まないように注意しましょう。
話を中断させてしまうのは、相手の満足度を下げる行為です。
相手の話を聞く際には、自分の解釈などは入れず、聞き役に徹します。

また、声は出さなくても、うなずき、相づちなどで、相手に反応を返してください。
単なる相づちではなく「聞いてもらえている」
「話しても大丈夫」という安心感を相手に与えることが大切です。

相手に合わせて話す

互いの考えを理解し、認識を共有するためには
自分の考え・気持ちが相手に伝わらなくてはなりません。

私たちは、「相性が良さそう」「なんとなく気が合いそう」と思う相手に対して
信頼したり安心感を抱いたりします。

つまり、相手に合わせることが重要です。
相手の声のトーンや話すスピード、声の大きさ、動きなどを相手に合わせて話してみましょう。

また、相手が使っている言葉は、そのまま使いましょう。
相手の言葉を勝手に言い換えたりしない、ということです。

例として、2つの会話をご覧ください。

【例1】

相手「冷たいコーヒーでも飲みたいですね」
自分「冷たいコーヒー、いいですね」

【例2】

相手「冷たいコーヒーでも飲みたいですね」
自分「アイスコーヒー、いいですね」

どちらの方が、お互いの心が通じている感じがするでしょうか?

この例では、「冷たいコーヒー」という前提が、自分と相手とでは異なる場合があります。
確かに、冷たいコーヒーのことを「アイスコーヒー」と言います。

しかし会話の中で、相手は「冷たいコーヒー」と表現したけれども
実は必ずしもコーヒーである必要はなくて
「冷たい飲み物が飲みたい」と言いたかっただけなのかもしれません。

だとすると、「冷たい」ことが重要だったのに
そこを「アイスコーヒー」と言い換えられてしまうと、相手と気持ちが通じあった感覚は
「冷たいコーヒー」よりも低くなってしまいます。

繰り返しになりますが、自分と相手とでは、認識や前提が異なります。
そのため、相手の使う言葉を尊重しましょう。

コミュニケーション能力は、日常にどう役立つのか?

コミュニケーション能力とは、人を動かすチカラだとお伝えしました。
コミュニケーションは、あなたが仕事で成果を上げるだけではなく
あなたの日常にも大きな変化をもたらします。

  • 人間関係に自信が持てるようになります
  • 感情のコントロールができるようになります
  • 自分を責めることが減り、毎日が楽になります
  • 周りの人の相談に対応できるようになります
  • 苦手な相手と上手に付き合うことができます
  • 自分自身を安定させるテクニックが身につきます

コミュニケーションの対象は、大きくは2つに分かれます。
1つは、これまでご紹介してきた「他人とのコミュニケーション」。
そしてもう1つは、「自分とのコミュニケーション(内部対話)」です。

自分とのコミュニケーションは、自分自身の中に「気づき」や「自己変化」を与えてくれます。
ぜひ、自分とのコミュニケーションも意識してみてください。

まとめ

最後にもう1つだけ、大切なことをお伝えします。

私たちは、「他人」を変えることはできません。
変えることができるのは、「自分」だけです。
でも私たちは、「他人とのコミュニケーション方法」は変えることができます。

結果は相手に委ねることになりますが、信頼を得て共感してもらったり
情報を理解してもらったり、ときには問いを与えて相手を揺さぶったりと
相手にもっと考えてもらう、気づいてもらうきっかけを作ることができるのです。

「周りと上手くいかないな」と、ストレスを感じているのであれば、
まずは、周りの人とのコミュニケーションのやり方を変えてみてください。

ストレスを生じさせる要因の多くは「人間関係」です。
だからこそ、あらゆる人間関係を良好にし、どんな状況でも自分らしくいられる
コミュニケーション能力を身につけることは、人生の「満足度」や「幸福感」を上げることに繋がります。

コミュニケーション能力を高めるのは
早ければ早いに越したことはありません。今すぐ実践していきましょう。

ただ、コミュニケーション能力は、すぐに身につくものではありません。
日々の筋トレやジョギングといった身体作りと同じように、
継続した実践によってスキルが身につき、徐々に日常の違いを実感できるものです。

私たち日本コミュニケーショントレーナー協会は、内閣総理大臣認証NPO認定校として以下のことをお伝えしています。

  • 卓越したコミュニケーションテクニックをお伝えすることができます
  • あなたが持っている価値観、認識や前提を見つける方法をお伝えします
  • コミュニケーションの実践の場を用意しています
  • 継続学習を前提としたコミュニケーション方法をお伝えします

ぜひ、あなたがコミュニケーションを学ぶ方法として、選択肢の1つにしてください。

著者プロフィール 椎名規夫(公認心理師、NLPトレーナー)

一般財団法人日本コミュニケーショントレーナー協会 代表理事
経歴:社団法人取手青年会議所 1999年理事長

1961年生まれ。茨城県取手市出身。

「変われなければ心理学ではない!」をスローガンに、心理の国家資格『公認心理師』の知識を活かして、日本で唯一、科学的根拠のある心理学をベースにしたコミュニケーションスキル(コーチング、カウンセリング、メンタリング、セラピー、コミュニケーション能力、コミュニケーション心理学)を提供。

エビデンスベースド(科学的根拠のある)心理学とコミュニケーション能力こそが社会人、ストレス社会、人生100年時代に役立つスキルと確信してトレーニングを実施中。

  • 全国6万社が加盟する中央労働災害防止協会でコミュニケーション研修担当
  • 独立行政法人教職員支援機構で全国の小・中、高等学校の教員向けコーチング研修担当
  • 労働基準監督官(国家公務員)合同研修でメンタルトレーニング・コミュニケーション技術担当
椎名規夫トレーナー

椎名規夫トレーナー

著書&DVD

  • 人を動かす力

    人を動かす力。著者:椎名 規夫。出版社:アスカ・エフ・プロダクツ

  • 自分とまわりを変える魔法のNLP実践トレーニング

    自分とまわりを変える魔法のNLP実践トレーニング。著者:椎名 規夫。出版社:アスカ・エフ・プロダクツ

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    2011年3月11日の東日本大震災後、NHKの総合と教育チャンネルで、心のケアを担当した世界的セラピスト堀之内先生と椎名代表理事のDVD。

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