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「私は私らしく生きる」という近代的自我の神話が崩壊して、およそ百年

「私は私らしく生きる」という近代的自我の神話が崩壊して、およそ百年

投稿日:2025年12月26日 / 最終更新日:2025年12月25日

知って使っているのか?知らないで使っているのか?

「私は私」
「私は私のままでいい」
「私は私でしかあり得ない」
「ありのままの私を受け入れよう」
「私らしいって、こういうこと……」

恥はかきたくない。

「私は私のままでいい」「私は私」、それじゃダメでしょ!

「私は私」という言葉が、疑いもなく使われている。だが、それではダメ。「私は私」じゃダメなのだ。

しかし、多くの人は、途中で考えるのを止めてしまう。だから、いつまでたっても「私は私でいいんだ」と思考停止させて、偽物の安らぎに逃げていく。だが、「私は私」では立ち行かないのだ。

たとえば、「私は取手市民」という人と「私は都民」という人は違う。私が取手市民で、都民であることは出来ない。私は何かの代名詞である。だから、代名される「私」が、代名される「私」であるはずがない。「私は私」とは、「AはA」と言っているに過ぎない。

「私は私」のトレーニング

私を見つけようとしても、簡単には見つからない。見つからない理由も簡単。見つからない人には、見つからない。すると、自分探しで疲れてしまう。

そんな人向けの代表的なトレーニングに、「脱同一化・同一化」というワークがある。簡単に示すと、こんなトランスワークだ。

「私は、何ものでもない
 私には感情がある、しかし、常に変わる感情は、私そのものではない……
 私には考えがある、しかし、進化する考えは、私そのものではない……
 私には知性がある、しかし、置き換える知性は、私そのものではない……」

要するに、さまざまな心理機能と私を脱同一化し、最後に、私そのものを感じるワークである。
私が代名している対象を感じるワークだ。それは一般的に、静けさ、光、一体感として「私」というものを体験することが多い。

すると、私とは静けさなのか。光なのか。一体感なのか。だが、私が代名しているものを言葉で表現した瞬間、それはすでにそれではなくなる。それこそが、私が代名しているものの正体なのだ。

たいていの場合、数日は「私の正体」とともに居られる。ところが、数日も日常生活を送ると、その感覚を忘れてしまう。

そして、それを理解したうえで「私は私」として自律的に強く生きる者もいれば、「私は私なんだから、それでいい」と、本当のことがわからないまま、自分を強制的に奮い立たせる、そんな他律的な生き方に向かう者もいる。私が代名するものを知ったうえで「私は私」と言う者と、それを知らずに言う者とでは、まったく違う姿で生きることになるだろう。

「人は人 我は我なり、とにかくに、吾行く道を、吾は行くなり」 西田幾多郎(にしだ きたろう)

強さが違う。西田幾多郎先生の言葉は、我(私)というものを捉えていた人の言葉に違いない。

すでに在るものは、見つからない

私の名前は、椎名規夫という。

名前は椎名規夫だが、私が椎名規夫なのではない。名前を付けられる前、私は椎名規夫ではなかった。では、名前が付けられる前の私は、何だったのだろう。名無しの権兵衛?そうかもしれない。皆さんはどうだろう。名前を付けられる前、何だったのだろう。

名前が付けられる前の赤ちゃんなら知っているかな?
赤ちゃんは、何を代名されているのだろう。
私とは、いったい何なのだろう。

著者プロフィール 椎名規夫(公認心理師)

一般財団法人日本コミュニケーショントレーナー協会 代表理事
経歴:社団法人取手青年会議所 1999年理事長

1961年生まれ。茨城県取手市出身。

「変われなければ心理学ではない!」をスローガンに、心理の国家資格『公認心理師』の知識を活かして、日本で唯一、科学的根拠のある心理学をベースにしたコミュニケーションスキル(コーチング、カウンセリング、メンタリング、セラピー、コミュニケーション能力、コミュニケーション心理学)を提供。

エビデンスベースド(科学的根拠のある)心理学とコミュニケーション能力こそが社会人、ストレス社会、人生100年時代に役立つスキルと確信してトレーニングを実施中。

  • 総務省 「コミュニケーションの基礎に関する研修」
  • 全国6万社が加盟する厚生労働省の労働基準局所管特別民間法人『中央労働災害防止協会』にてコミュニケーション技術力研修担当10年以上
  • 労働基準監督官(国家公務員)合同研修でメンタルトレーニング・コミュニケーション技術担当
  • 独立行政法人教職員支援機構にて全国の小・中、高等学校の教員向けコーチング講座担当など
椎名規夫トレーナー

椎名規夫トレーナー

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