「お米が高い……」、農家の良心。
投稿日:2025年9月23日 / 最終更新日:2025年9月22日
田んぼに囲まれた田舎に住んでいる。
最近、出会うお百姓さんの顔が明るい。
ほほの筋肉が緩んで、えびす様のような顔になっている。
稲刈り前の8月のお盆のころに、「儲かって良かったね」と声をかけると、
「今だけだよ」と遠慮した笑いだった。
が、今は違う。
「儲かりすぎだね」と話しかければ、
「いやぁー、儲かっちゃってさぁー」。
遠慮はない。
これまで後継者が育たない環境を生き抜いてきた彼らに、お天道様は恵みを与えたのであろうか。
この辺りでは、銘柄米60Kgの玄米の買い上げが35,000円を超えた。精米して55kgに減るとすると、1kg単価が約635円。
運送代、営業経費、精米する手間暇、パッケージ、販売管理費を考えれば、40%の粗利は必要だろう。すると、一般消費者が購入できる金額は1kg、1,060円(税込)。
すると、1kg、1,000円以下のコメは怪しい。一般の者は、コメを混ぜられたら見分けがつかない。
それでも、この1週間で買い上げ価格が3,000円も上がったとか……。
高くて買えない事情を知っていて、買い付けをする業者がいる。彼らの価値基準は損得。損はしない方がいいけれど、どうなんだ。
雹害を思い出す。壊れた屋根の修理が順番待ちになり、暴利を貪る業者がやってきた。
大震災を思い出す。雨漏りするようになった屋根の修理が順番待ちになり、暴利を貪る業者がやってきた。
損得は儲けるチャンスだ。
だけれど、窮地にお天道さまに恥じない仕事をしていた建築会社は、今、輝いている。そのときに損得ではなく、善悪で仕事をし、お金では買えない信用を得たからだ。
なんでも率直に話せる農家のご主人がやってきた。
彼は悩んでいた。「安く卸したいけれど、そうすると近所の農家から仲間外れにされる」
彼は賢い。仲間外れになっても、相手の気持ちに寄り添って米を売っている。容赦しない日差しの2025年9月、彼はまっとうにお天道さまの恵みを還元している。