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「自己肯定感」で悩まない方が賢い理由。

『自己肯定感』で悩まないことが賢い理由。

投稿日:2025年12月1日 / 最終更新日:2025年12月2日

存在しない『自己肯定感』で悩む遠回り

もし、『年が若返る感』という概念があったとしましょう。

そして、ある人が「私は『年が若返る感』が低くて…どうしたらいいんでしょう」と真剣に悩んでいたとしたら、どんなアドバイスをしますか?

きっと、「そんなものは存在しないから、大丈夫だよ」と言うのではないでしょうか。

お察しの通り、『年が若返る感』という表現と同様に、一般的に使われている『自己肯定感』という概念は、いつの間にか誕生していた曖昧な存在です。『自己肯定感』という言葉は、数十年前までは存在せず、今でも概念があるだけで、その実態はよくわかっていません。

すると、存在しない『自己肯定感』が無いと悩むのは、むしろ正常な思考です。無いものが無いのは正常です。逆に、無いもの(『自己肯定感』)を「ある」と信じ込んでいる人の方が、どこか可笑しく思えませんか。

曖昧で、この世に存在しないものを巡って悩み、時間を費やすのは、非常にもったいないことです。

なぜ、『自己肯定感』という言葉が生まれたのか?

『自己肯定感』という抽象概念(物理的な形や実体を持たない「見えないもの」)は、特定の誰かがゼロから提唱した単一の理論ではありません。

これは、心理学の歴史の中で発達してきた複数の異なる概念が、社会的なニーズに応じて寄せ集められ、一般化されたものです。

その寄せ集められた主要な要素は次の通りです。

  • ウィリアム・ジェームズの自尊感情:自己の価値や能力に対する全般的な評価
  • カール・ロジャーズ自己受容:自分の短所や欠点を含め、ありのままの自分を認めること
  • アルバート・バンデューラ自己効力感:特定の状況で目標を達成できると信じる力
  • エリク・H・エリクソンの基本的な信頼世界や他者に対する安心感

これらの要素がいつの間にか統合され、“一見万能そうな”「自己肯定感」という概念が構成されてしまったのです。これは、「心理学者の数だけ心理学がある」という弊害を覆い隠しているようにも見えます。

すると、何を基準にして「自己肯定感が低い」と言えるのでしょうか?また、何をトレーニングすれば「自己肯定感」が高まるというのでしょうか?この曖昧さを、打開しましょう。

答えは一つです。 「自己肯定感が低い」と感じること、それは、それ自体が自分を大切に思う気持ちから生じている証拠でしょう。 それならば、「自己肯定感」をどうにかしようともがいているご自身をこそ、愛すること

愛するとは「尊厳」を大切に生きる

愛するとは。本当に大切にすべきは尊厳です。

自分の尊厳を大切にする。そして、まわりの人の尊厳も大事にする。

生きている上で最も大切なのは、一人ひとりがその日を懸命に生き抜いているという事実だからです。 ときに息切れしたり、やる気をなくしたり、自分を見失い、「自己肯定感」という曖昧な概念に出会って戸惑ったりすることがあっても、それは人間として当然のことです。

日々新たな驚きの連続を、楽しんで生きませんか。

尊厳を大切にする。それは、お金や一時的な快楽に惑わされないで生きるということ。先人たちが、お金や快楽に溺れず、正しく生きることこそが尊厳を守る道だと教えてくれています。お酒や美味しいもの。娯楽という快楽を一切やめることができなくても、自分とまわりの尊厳を尊重する生き方こそが、『自己肯定感』という得体の知れない言葉の正体なのかもしれません。

もしそれができたなら、仕事のミスや、ある能力が他人より低いからといって、自分を責める必要はないでしょう。自分の存在価値を疑い、「自己肯定感が低い」と悩む必要などないのです。悩むなら、その時の真摯さを問うだけではないでしょうか。

「誰もが人間は不完全だ」と慰めるつもりはありません。それは事実だからです。不完全だと自覚するなら、『自己肯定感』が低いと悩む無駄な時間を止めて、真摯さを問い直したり、ゆっくり休んで読書でもする方が、よほど有意義ではありませんか。

よくわからない『自己肯定感』に囚われている時間が、何よりも無駄。

なぜ、『自己肯定感』が注目されるのか?

ある講座で「『自己肯定感』なんて無いんだから悩まない方がいいよ」と伝えたことがあります。すると、ある参加者が「何を言っているのかわかりません。早口過ぎて……、もう一度お願いします」と言いました。

彼女は数年前から「『自己肯定感』をどうしたらいいんでしょう」と深刻に悩み続けてきた人でした。そんな方が、「『自己肯定感』なんて無い」と伝えたら驚きますね。

人は生活の中で、「自己肯定感」という言葉を学習し、それを“存在するもの”だと信じ込んでしまう。ある特定の集団が注目すると、それを在ると信じて、自分で自分を評価してしまう。なんと怖ろしいことか。

なぜ、『自己肯定感』という無いものが存在し続けるのか?

それは、それでビジネスとしてお金が儲けられる人がいるからです。旨味がある人たちがいるからこそ、この言葉はこれからも生き続けます。

もし「自己肯定感」という無いものでビジネスを展開する機会に出会えれば、その人たちの価値が分かるというものです。

大切なのは尊厳。

在るものと無いものの区別をつけながら生きていきたいものですが、それは難しい。なぜなら、AIに『自己肯定感』とはと問うと、もっともらしく回答が返ってくるからです。

AIも『自己肯定感』という言葉があった方が、その存在価値が高まるようです。

著者プロフィール 椎名規夫(公認心理師)

一般財団法人日本コミュニケーショントレーナー協会 代表理事
経歴:社団法人取手青年会議所 1999年理事長

1961年生まれ。茨城県取手市出身。

「変われなければ心理学ではない!」をスローガンに、心理の国家資格『公認心理師』の知識を活かして、日本で唯一、科学的根拠のある心理学をベースにしたコミュニケーションスキル(コーチング、カウンセリング、メンタリング、セラピー、コミュニケーション能力、コミュニケーション心理学)を提供。

エビデンスベースド(科学的根拠のある)心理学とコミュニケーション能力こそが社会人、ストレス社会、人生100年時代に役立つスキルと確信してトレーニングを実施中。

  • 総務省 「コミュニケーションの基礎に関する研修」
  • 全国6万社が加盟する厚生労働省の労働基準局所管特別民間法人『中央労働災害防止協会』にてコミュニケーション技術力研修担当10年以上
  • 労働基準監督官(国家公務員)合同研修でメンタルトレーニング・コミュニケーション技術担当
  • 独立行政法人教職員支援機構にて全国の小・中、高等学校の教員向けコーチング講座担当など
椎名規夫トレーナー

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著書

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