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コミュニケーション講座を受講された方からのメッセージ

椎野 直樹さん写真

椎野 直樹

職業 理学療法士
専門学校教員

家族関係の悩みからコミュニケーションを学び始めて

椎野さんはどんなお仕事をされているのですか?

理学療法士という仕事です。もともとは総合病院勤務でリハビリテーション業務をしていました。今は、理学療法士・作業療法士を育てる専門学校の教員をしています。臨床現場には週1回、老人の施設にうかがっています。

トレーナー協会で勉強しようと思ったきっかけは?

自分はけっこう悩んでしまうタイプで。子供が二人いて共働きなのですが、家族との関係に悩んでいたんです。できる限り育児にも関わる父親を目指していたのですが、ついつい子供や妻に対して感情的に怒ってしまうことがありました。

そのときリチャード・ボルスタッド氏の『コミュニケーション子育てコーチング?親の信頼が子供を伸ばす』という本を読み、コミュニケーションって何だろうと思ったのがきっかけです。半年くらい迷ったすえに、ネットで探してこちらで受講することになりました。

当協会でコミュニケーションを学んでから、変化はありました?

前の自分は、家族中心の生活を心掛け(たつもりで)、叱るはずが感情的によく子供を怒っていました。「親父というのは子供に関わりすぎないほうがいいのでは」と思ったりも。

コースを受講しているとき、湧き出る自分の感情をじっくり見つめることで、まず自分の感情が出るのはいいことだと考えるようになり、やがて上級コースに進んでからは、怒らなくなったんです。
自分で自分のことをようやく承認できた、という感じでしょうか。その後は家族にも落ち着いて、ちゃんと言葉に意味を込めながら、怒るのではなく、叱る、伝えるようになれたんですね。

カーッとなることもなくなったので、逆に落ち込むこともすごく減りました。

どんなときに落ち込んでいたんですか?

たとえば家族を怒ってしまった自分に対して、そして仕事では上司に注意を受けてしまう自分に。気分にもよりますが、落ち込んだときは「ほんとに消えてしまいたい」と…。

それが、上級コースの9日目、「コアステート」を学び、家でもやってみたんです。宝彩有菜さんの『気楽なさとり方』という本にあった「欲を一個一個見つめていけ」という話に似ているな、と思って。

そしてワークがうまくいき、「消える」というよりも「どうせ何もないんだから」という境地になったんです。

「何もない」というのは仏教でいう「空(くう)」のような?

そうです。無とか空のような感覚です。自分のなかには何もないんだから、何でもやってみればいいんじゃないかと。そしてこの体験のあと、すごく自由になれたと感じました。

感情のぶれがほとんどなくなり、同じシチュエーションに遭遇しても怒ったり落ち込みにくくなりました。それは周囲の方々の関わりに対しても、何より自分自身に対しても本当の意味で「すべてを受け止められそう」というニュアンスに変わったんです。この変化はすごく大きかったですね。

気持ちの変容があったのですね。ご家族は椎野さんの変化に気づかれました?

家族は気がつかないんですよ(笑)! ただ、反抗(自我形成)期の長男の笑顔が増えた気がします。あと、小学生の長女がぼそっと「最近、パパは話を聞いてくれる」と言ってくれました。以前のパパは怒ってばかりだったので。

期待せずに信頼する。
ゆとり世代と心を通わせて

お仕事ではどんなふうにコミュニケーションを使ってらっしゃるのですか?

自分は、患者様の話を聞くとき、信頼関係づくりのスキルを使って信頼関係をつくります。

理学療法士というのは痛みに対する治療や身体の調整、発達障がいを持つお子さんやスポーツ、在宅医療…など多岐にわたります。その中で患者様と歩行や日常生活の練習をすることがありますが、「こちらがリードしなければ」と思いがちなんです。

でも、僕らの仕事は患者様に協力してもらわないとよりよい結果が出ません。そこで、僕らが患者様の心身・社会的資源(リソース?)を把握した上で歩幅を合わせて、その方に合わせたペースでやっていくのです。学生さんにも(椎名トレーナーもおっしゃっていましたが)「最終的には、相手に決定権があるんだよ」と伝えます。

他の職種の方もそうだと思いますが、患者様に多くの可能性や目標、選択肢を提供し、患者様と決めていくというスタンスが非常に大事なんです。

学生さんとの関わり方ではいかがですか?

僕が教えている専門学校は4年制で18〜22歳の年齢層が多くの割合を占めます。いわゆる「ゆとり世代」なのですが、学生たちの一部は気持ちの上でなんとなく「認められてない感」があり、非常に自己肯定感が乏しい子もいると実感します。

ゆとり世代に対して、世間は勝手な評価をしていますもんね。

彼らもそれを知っているので、「私たち、どうせゆとり世代ですから」とか言っちゃう。その劣等感からのスタート。客観的に見ると卑下する必要はまったくないんですけど。

彼らは本当にいい子たちなんです。ただ、オープンになってほしいときもすっと引くような距離感があります。出る杭は打たれてきた世代なので、まわりに合わせなければいけないと考えていて、自分を出さない。だから逆に、自分の伸びしろもわからないのです。

そこで、個人面談のとき個々人のいいところや可能性を示してあげたり、こちらがリフレーミングを使ってみると初めて気づく。
「君はこういうことが上手にできるよね」と伝えると、
「そうですけど、みんなそうなんじゃないんですか?」みたいな。
「それはみんなができることじゃないよ」と言ってあげると、
そこで初めて自信になっていく、ということがすごく多いんです。

それから、勉強のやり方も、コミュニケーションで学んだ各人の「利き感覚」を見て、アドバイスしてあげられるようになりました。
「友達は教科書を見るだけで頭に入るのに私は入らない。ダメだ」と言うと、
「じゃあ、読んでから書いて理解してみたら?」と言ってあげると「よく理解できました」と。
利き感覚モデルはほとんどの確率でいい反応をもらいますね。

ご自身が仕事で悩んでいた部分も解消されたんでしょうね。

教員って意外と事務作業が多く、自分はほんとに苦手で(笑)。ミスも多く、「俺はダメだ」と落ち込んでいました。今は、ミスする前に遠慮しないで上司に相談できるようになりました。

以前は自分のなかで「べき」がすごく強かったと思います。「期待されている以上の結果を出して当然、むしろそうすべき」と、信じて疑わなかった。

それがコミュニケーション学んだのをきっかけに、「まあいいか」と変化して(笑)。クオリティの高いものが出せればそれでいいし、低かったら修正すればいい。その善し悪しはわかりませんが、自分の中ではそれでOKになったんです。

それはすごいですね!

学生さんにも、いい意味で期待せずに、信頼するようになったと思います。表向きはいい顔をしつつ「お前ならここまではできるはずだ」と思いながら関わってしまうと、ときには必要なことかもしれませんが、敏感な子は気づいて離れてしまうのです。

20歳くらいの子は、大人に心を開くのは苦手です。ただ、ペーシングとミラーリングをしていくだけで、こちらの「信頼している感」がうまく伝わるし、向こうもオープンになってくれる。ようやく心を開いてくれると、それまで学生自身が抱えていた悩みを話してくれて、更に一緒に向き合えるようになったりします。

こちらが「こうやるんだよ」と言っても物事は進まないけど、本人は答えがわかっていることも多いので、「うんうん」と話を聞いてあげるだけで、うまく自分の力で運べるようになる子も多い。やはり何事も決めるのは本人なんですね。
「人が変化を起こすために必要なリソースは、すでにその人の中にある」ってことですかね。それがすごいなあと思います。

仲間から学んだのは
いつも夢を持ち続けること

コミュニケーションのスキルを身につけた椎野さんの、今後の夢や目標があったら教えてください。

以前なら、仕事はちゃんとやる「べき」で、家に帰るのが遅くてもしょうがないだろうと思っていました。コミュニケーションを勉強してからは、そう考えるのがちょっとさみしかったんです。

家族のテーマからコミュニケーションの学びが出発したわけですものね。

そうですね。今は、自分のなかで本当にぶれがなくなったので、自信をもって父親としていられるようになりました。だから「まず家庭を大事にして、そして仕事がある」と思える。これは今後もくつがえらないと思います。

今思えば、自分の父が仕事中心だったこともあり「父親像はこうあるべき」が強かったのかもしれません。でも、子供の頃さみしかったんだと思います。「家庭」をずっと求めていて、今に至っている。

「結婚して、子育てして、ローンだけど戸建てを買って」という今の状況は、自分のなかでは「男として当然だろ」と思っていました。ですが、ワークのときに、受講生の方から「それができない人も多いよね」と言われて。今まで築き上げてきたものに対して「すごいよね」と自分をまるごと認めてもらった感じがしました。最初は「そうかな。別に普通じゃないか」という感じだったのですが、あとで「そう言われれば、自分ってすごいかも」と思ったんです。

まるで椎野さんと学生さんとのやりとりみたいですね(笑)

本当に受講生の方々からはパワーをもらいました。みなさんがワークで「こういうことをやりたい。やります」と話されると、内心「それって無理でしょ?」と思ったりもしました。でも、僕より年上の方々が、こんなに向上心と夢をもって、アグレッシブに生きている。「それでいいんだ、純粋に夢を見てもいいんだ」と、すごく感動したんです。

その刺激を、教育や臨床現場でも生かしていきたい。自分は学生さんの持つ夢や志について話を聴く時「理学療法士という手段を使って、何をしたいか?」をいつも問いかけます。リハビリの業務も患者様が回復していく姿にばかり遭遇するわけではありません。僕らも例外ではなく医療従事者は、人の死などの悲しみに向かい合うことも多い仕事です。

そのような状況でも学生さんにはもっと夢を持ってほしい。そして、将来患者様やそのご家族様、社会に何を提供したいのか、と。私は、同じ職業を目指して頑張っている学生さんには、やはり強くて優しい人になってほしい。

「医療の仕事は泣いていたら仕事にならない。でも、人の悲しみや死に慣れてしまい、涙が出なくなったら辞めなさい」と、いつも師に言われていたことを思い出しながら、学生さんや患者様と関わっていきたいと思っています。

プロフィール

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椎野 直樹

理学療法士、呼吸療法認定士として総合病院、介護老人保健施設勤務を経て、現在専門学校で専任教員となりました。
以前より専門的かつ高度な技術の習得は勿論、患者様やご家族様、職員に対する心理的サポートの必要性を感じていました。
自分自身が悩んだことをきっかけにコミュニケーションを学び始め、現在は学生指導のみならず、患者様への治療やサポートにコミュニケーションスキルを織り交ぜながら奮闘中です。
神奈川県内リハビリ専門学校勤務

ひとりでも多くの人に笑顔になってもらえたら

高橋 真弓
社会保険労務士
経営者
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『患者さまを治すためには、なにが本当は必要なのだろう』という切実な思いから

石井 久恵
石井歯科医院副院長
表参道こころのクリニック 臨床心理士
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医者に見放されたあの時。
そして、コミュニケーション心理学に出会った。

赤松 史子
コーチ・フロンティア 代表
赤松 史子さん写真

家族関係の悩みからコミュニケーションを学び始めて

椎野 直樹
理学療法士
専門学校教員
椎野 直樹さん写真

ひとりでも多くの人に笑顔になってもらえたら

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すべての関係性の背後にコミュニケーションの力が

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