【解説】職場の人間関係|悩み・問題の原因と解消に導くシンプルな心の使い方
投稿日:2025年1月14日 / 最終更新日:2025年1月27日
「話を聞いてくれない…」
「職場になじめない…」
「イライラする人がいる…」
「しゃべり方にイライラする…」
「嫌な感情を引きずってしまう…」
「何度も注意しているのにミスをする…」
この他にも、人間関係の悩みはたくさんあります。
特に「職場の人間関係」は、社会で生きる私たちにとって、避けては通れないテーマです。
しかし、相手を変えることは不可能に近いこと。だから、悩みは深まるばかりです。
人間関係って難しいですよね。
そこで、視点を変えて柔軟に考えることで、人間関係のトラブルやストレスをご自身の成長の糧にしませんか?
人間関係のストレスを、自分の成長の機会、学びの機会にするのです。
もちろん、セクシャル・ハラスメント、パワー・ハラスメントに該当するなら、法的措置を考えることも必要です。
日常の対人関係は、私たちを成長させてくれる学びの宝庫です。
まずは人間関係のストレスを、ご自身の成長に繋げる「シンプルな心の使い方」を身につけましょう。
そうすることで、職場での人間関係の悩みが軽減され、自分の人生を前に進める生き方ができるようになるでしょう。
目次 [閉じる]
なぜ、人間関係で悩むのか?
人間は社会的動物である
古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、「人間は社会的動物である」と言いました。
私たちが他者と関わり、社会の中で生きることを「人間の本質的なもの」と捉えたのです。
人間は単独ではなく、他者と協力し、支え合うことで、はじめて自分の可能性を十分に発揮できる存在と考えました。
また、この「社会的動物」という考え方には、人間が本来、他人との繋がりを求める傾向があるという意味が込められています。
家庭や友人関係、さらにはコミュニティ、国家といった共同体は、人間が幸福で充実した生き方をするために必要な場と考えました。
この視点からアリストテレスは、人間の本質を理解するためには、人と人との関係性やコミュニティの在り方を考えることが重要だとしたのです。
ストレスは「敵」ではない
スタンフォード大学の心理学者ケリー・マクゴニガルは、ストレス、意志力、そして人間関係の分野での研究で知られています。
彼女の著書『スタンフォードのストレスを力に変える教科書(The Upside of Stress)』や『スタンフォードの自分を変える教室(The Willpower Instinct)』は、幅広い層に支持され、ストレスや意志力に関する新しい視点を提供しています。
マクゴニガルは、ストレスを必ずしも「敵」とせず、それを成長やポジティブな変化のリソースにできると解説しています。
また、彼女は科学的な研究成果に基づき、「ストレスが他者との繋がりを深め、自己成長の機会にもなる」とも言っています。
ストレスに対する考え方・受け取り方を工夫することで、ストレスの影響も大きく変わるという点に焦点を当て、多くの人々が前向きにストレスに向き合えるようサポートしています。
彼女の考えはTEDトークでも広く紹介され、「How to Make Stress Your Friend(ストレスと友達になる方法)」と題したトークは、1,000万回以上の再生回数を記録し、大きな反響を呼びました。
人間関係で悩まなくなるスキル
すぐの解決は、ほぼ起きないと理解する
人間関係で悩まなくなるための最も大切なスキルは、「問題がすぐに解決しないことを受け入れる」ことです。
人間関係は複雑であり、お互いの考え方や感情、背景が絡み合うため、摩擦が起きても即座に解決することはまれです。(これまでもそうではありませんでしたか?)
むしろ、解決までには時間がかかるのが普通であり、それを自然なこととして受け入れることで、焦りや不安が軽減されます。
すぐに解決しようと焦ると、逆に状況が悪化することがあります。
そのため、まずは時間をかけて状況を観察し、自分自身の対応力を養うことが大切です。
人間関係の問題は「すぐには解決しない」と理解すると、冷静な対応や長期的な視点を持てるようになり、無理なく対処できるようになります。
この考え方は、対人関係の悩みを軽減し、落ち着きを保つための重要なスキルです。
時間をかけて学びきる
もうひとつのスキルは、「物事に対して焦らず、じっくりと学ぶ姿勢を持つ」ことです。
人間関係の悩みや問題は、すぐには解決しないことが多いため、根気強く経験を積み重ね、その中で少しずつ理解を深めていくことが大切です。
時間をかけて学ぶことで、感情などをセルフコントロールする方法や、相手の考え方を受け入れるスキルが身につくでしょう。
学ぶプロセスを通じて、対人関係の悩みを乗り越えるための知恵や対応力が少しずつ蓄えられ、最終的には人間関係に振り回されることなく、安定した心で生きられるようになります。
「時間をかけて学びきる」ことは、自分自身を成長させる最良の方法であり、長い目で見て豊かな人間関係を築くための土台となるのです。
人間関係で悩まない人の考え方
ストレスに対する考え方を変えるだけで結果が異なる
ケリー・マクゴニガルの研究によると、ストレスに対する捉え方を変えるだけで、体への影響やパフォーマンスが大きく変わることが分かっています。
ストレスを「敵」と捉えるのではなく、「成長のチャンス」や「自分を試す機会」と考えることで、同じ状況でもポジティブな影響を受けやすくなります。
人間関係のストレスも、視点を変えることで悩みが減り、前向きに取り組むことが可能です。
起きた出来事から学ぶ知性をみがく「何を学んでいるのか?」
悩まない人は、困難な出来事に直面したとき、その出来事から「何を学んでいるのか?」と考えます。
人間関係の問題も、視点を変えれば自分を成長させるきっかけとして捉えられます。
この考え方によって、失敗や困難を自分の糧にし、前向きに次の行動に進むことができるのです。
例えば、職場で「Aさんに、イライラする」とします。
そのときに「何を学んでいるのか?」と自問自答します。
すると、このような答えが浮かんでくるでしょう。
「理解し合えない部分があるのかも?」
「相手も同じように感じているかも?」
「腹を割って話すチャンスなのかな?」
「他の意見を伝えたいのかもしれない?」
そうしたら、Aさんに伝えてみましょう。
Aさんが上司でも、部下でも、目の前の人を支援する態度を示しましょう。
「Aさん、もっと良い職場にするために、私にできることがあればアドバイスをいただけませんか?私がAさんに協力できることはありませんか?」
実は、これが最高のセルフケアです。
ケリー・マクゴニガルによると、「目の前の人を支援することが最高のセルフケア」である理由は、他者へのサポートが自身の幸福感や健康にも大きな効果をもたらすからです。
彼女たちの研究では、他人に対して支援や親切心を示すことで、私たちの体と心にポジティブな変化が起こることが分かっています。
ストレスがかかる状況でも「他者の役に立ちたい」「支えになりたい」という気持ちがあると、健康への悪影響が軽減し、むしろストレスを前向きな力に変えることができるとされています。
支援を通して得られる繋がりや喜びは、自己肯定感や幸福度を高め、心の健康を保つための最高のセルフケアとなるのです。
もし、自分の立ち位置を下げて譲歩してまで人間関係を改善しようと思わないのであれば、それは相手の問題ではなく「自分の問題」であることを認識することからはじめましょう。
相手の問題は、解消することはできません。
私たちができることは、自分の心の問題を解消することです。
起きた出来事から可能性を探る「どんな可能性があるのか?」
人間関係のトラブルを単なるネガティブな出来事として見るのではなく、「ここからどんな可能性が見出せるだろう?」と自問自答することも大切です。
トラブルをきっかけにコミュニケーションスキルを高めたり、他者理解を深めるチャンスとして捉えたりすることで、さらに柔軟に対応する力が育まれます。
まさに人間関係のトラブルは、人間関係改善に繋がるステップなのです。
起きた出来事から行動を選ぶ「何を求められているのか?」
困難な出来事に対して「今の自分に何が求められているのか?」と自問自答することが、悩まない人の大きな特徴です。
問題に対して感情的になるのではなく、冷静に「自分はどんな行動を取るべきか」と考えることで、周囲に左右されずに自分の選択をしやすくなります。
この考え方は、精神的な落ち着きを保つ助けにもなります。
感情、考え方、行動を分離しましょう。
それは、冷静な判断や建設的な対応をするためにとても重要です。
感情に流されてそのまま行動してしまうと、物事をより複雑にしたり、後悔する結果に繋がることもあります。
人間は、理性と判断力を持ち合わせているため、感情のまま行動するのではなく、感情をしっかり受け止めたうえで、どのように行動するのが最も適切かを考えることができます。
このプロセスは、自分の行動が感情の反射的な反応ではなく、意識的で思慮深い選択になるよう導いてくれます。
他の動物と異なり、人間には「考える」という機能が備わっています。
この人間本来の特性を活かすことで、私たちは感情と距離を置き、理性的な行動を選べるようになります。
まとめ|「我以外皆我師也」
『宮本武蔵』や『三国志』などを執筆した作家の吉川英治氏の「座右の銘」として知られる「我以外皆我師也」(われいがいわがしなり)。
簡単に言えば「自分以外は全て、自分に何かを 教えてくれる先生である」という意味です。
人間関係の中で直面する困難や摩擦は、私たちが自分自身を振り返り、より良い自分に成長するための機会です。
苦手な相手や理解しがたい状況も、視点を変えると、「自分がどんな態度で臨むべきか」や「他者との違いをどう受け入れるか」を学ぶ場となります。
こうした経験を通じて、私たちは心を柔軟にし、より成熟した人間に成長していけるのです。
人間関係のトラブルは一見ネガティブに思えますが、実際には自己を高め、人格を形成する絶好のチャンスです。
対人関係で悩んだり、壁にぶつかったりすることで、忍耐力や共感力、適切な対応力が養われます。
こうしたスキルは、職場だけでなく人生全般において重要で、深みのある人格形成に繋がります。