『心の声』との対話が相手を成長へと導く

人間誰しも失敗はつきものです。
ただ、その失敗を成長へとつなげるか、
もしくは、やる気をなくしてしまうかは、
親、上司など関わる人たちのコミュニケーションの仕方によって変わってしまいます。
相手が自ら成長するコミュニケーションとは。
そのカギを握る「心の声」についてご説明します。

「ミスの報告」は絆を深めるチャンス

部下が「仕事のミスで10万円の負担が必要になりました」と報告してきました。
あなたはどう対応しますか?

  • 最も一般的な反応
    「一体、何があった?どうしてそんなことになった?」
  • 少しコミュニケーションを学んだ方の反応
    「そんなことがあったのか。もっと具体的に教えてくれ」
  • 感情的で一方的な反応
    「なんだと?お前が弁償しろ!」
    「ふざけるな!どうやってその損を取り返すつもりだ?」
    「余計な仕事が発生したじゃないか!勘弁してくれよ」
  • コミュニケーションに優れた方の反応
    「正直に報告してくれてありがとう。君が一番ガッカリしただろうな」
    「良い勉強になるよう、一緒に解決しよう」

コミュニケーションに優れた方の様な対応が出来れば、
部下はあなたと一緒に安心して働くことができるでしょう。

ここで誤解しないでいただきたいのが、決してミスを許せと言っているのではありません。

ただ、人間の性質上、人為的なミスを完全に無くすことは出来ないということ。
その上で大切なのは、部下が『自ら』同じミスを繰り返さないように工夫できる環境を与えることです。
そして、上司としてその環境づくりを支援し、
プロセスを見守ることが、部下だけでなくご自身の成長にもつながります。
誰かのミスを怒鳴り、プレッシャーを与えて指導しても、
あなたと相手の絆を築くことも、相手が成長することもないでしょう。

上司として大切なのは、まわりの成長を見守る忍耐力です。

忍耐力とは『心の声』と向き合うこと

とはいえ、上司も人間です。部下が「仕事のミスで10万円の負担が必要になりました」と報告してきたら、
以下のような自分の『心の声』を聞くことになります。

「またか」
「ふざけてるのか」
「真剣さが足りねぇんだよな」
「センスねぇーな」
「そんなことも出来ないのか」
「どれだけ損するか分かってないな。10万じゃすまないよ」

誰にでも、このようなネガティブな心の声は存在します。
そして、感情的な上司は、それらをそのまま言葉にして怒鳴るのです。
これでは社員はやる気をなくし、いずれ離職してしいます。
では、ネガティブな心の声に耐えるには、どうしたらいいのでしょうか?

ネガティブな「心の声」と対話する

お子さんのテストの成績が悪かったことを想像してみてください。
きっと心の声が聞こえるはずです。

【自然に湧き出るネガティブな心の声】

①「ちゃんと勉強したのか?」
②「ゲームばかりしているからじゃないか?」
③「勉強には向いてないのかも」

【意図的に用いる心の声への対話】

④「どれも自分の勝手な想像だな・・・」
⑤「本人が一番、傷ついているだろうな」
⑥「結果も大事だけど、プロセスを認めてあげよう」

これらは全て自分の心の中でのやり取りです。
自然に湧き出てしまうネガティブな心の声を止めることはできません。
そのため、それらに気づくことが大切であり、
気づくことで意図的に④⑤⑥のような言葉を用いて自分の心の声と対話することができるのです。
すると、相手の成長へとつながる対応法を見出すことができます。

再度、ポイントを整理します。
自然に湧き出るネガティブな心の声を止めるのではなく、
意識して心の声に問いかけ、
まず、自分の中で意図的に心の声と会話することが大切なのです。
このプロセスこそが、相手のミスを、
ミスだけで終わらせずに「育てるチャンス」と「深い絆を構築するチャンス」にするのです。

部下が「仕事のミスで10万円の負担が必要になりました」と報告してきた時の、
あなたの心の声が「またかよ。しょうがねぇな」だとしましょう。その心の声と会話してみます。

子どものテストの事例 部下のミスへの応用
①「ちゃんと勉強したのか?」
②「ゲームばかりしいるからじゃないか?」
③「勉強には向いてないのかも」
④「自分の勝手な想像だな」
⑤「本人が一番、傷ついているだろうな」
⑥「結果も大事だけど、人柄やプロセスを認めてあげようかな?」
①「またかよ。しょうがねぇな」
②「こいつは見込みないな」
③「この仕事には向いていないのかも」
④「自分の勝手な想像だな」
⑤「本人が一番、傷ついているだろうな」
⑥「結果も大事だけど、人柄やプロセスを
  認めてあげようかな?」

このプロセスにより、あなたの意識は部下の人柄に向くようになります。
すると、コミュニケーションに優れた方の対応例のように「正直に報告してくれてありがとう。君が一番ガッカリしただろうな」という言葉を使えるようになります。
こんな言葉を掛けられた部下は、落ち着きを取り戻します。
そして、寛容な上司の態度に信頼を深めるようになります。

その結果、部下は自分のミスから学び、
自ら成長するようになるのです。
ミスをしてしまった仕事だけにフォーカスすれば、
利益を失っているかもしれません。
しかし、部下が自ら学び成長した経験は、
その後の仕事での成果につながります。
そうです。
④⑤⑥の自分の心の声に意図的に問いかけ、
相手の人柄に届く言葉は、
絆を深めながら相手を育てる魔法のスキルなのです。

ミスはその人を育てるチャンスになる

私たちは、常にポジティブな『心の声』。ネガティブな『心の声』を聞いています。
なぜならば、『心の声』とは、思考そのものだからです。
そして、大人になりきれない者は、部下が失敗したときのネガティブな『心の声』を、
感情のまま相手にぶつけてしまいます。
しかし、ネガティブな『心の声』は、相手と信頼関係を深めるチャンスであり、
ミスをしてしまった相手を成長させるチャンスに変えることが出来るのです。

相手の話を聞くとき、
それは同時に、自分の『心の声』を聞くことにもなります。
そして、相手の声に反応する、
自分のネガティブな『心の声』だけでコミュニケーションをしていると、
まわりと深い信頼関係は構築できないでしょう。
しかし、自分の『心の声』に問いかけることができれば、相手を成長させる機会を提供できるのです。

人は一般的に、相手に対するポジティブな『心の声』を素直に伝えることに不器用です。
とりわけ日本人は
「大切な存在である」
「愛する存在である」
「かけがえのない存在である」
と素直に伝えられない方が多いといわれています。

相手に対するネガティブな『心の声』への対応が出来ずに、
負の感情を直接ぶつけてしまう時、
そんな時は、もっと丁寧に『心の声』と向き合うことが大切なのです。
特にネガティブな感情が大きければ大きいほど、
自分の『心の声』に問いかけることにより、大きな光となって返ってきます。
『心の声』は、相手と自分の成長のために利用できるのです。
ぜひ『心の声』と向き合う機会を楽しんでください。

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